5. 政府が高齢者へ約6万円支給「年金生活者支援給付金」とは
年金生活者支援給付金は、低所得者や住民税非課税世帯を対象とした給付金です。
「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、要件を満たした人が年金に上乗せして受け取れる給付金となっていますが、今回は「老齢年金生活者支援給付金」に絞って解説します。
5.1 1.1 給付金額と対象者
<給付金額>
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月
老齢年金生活者支援給付金は、収入が87万8900円以下の非課税世帯の人に対して支給されます。
<支給要件>
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 世帯全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額(※)とその他の所得との合計額が87万8900円以下である。※障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く
たとえば、昭和31年4月2日以後生まれの方で被保険者月数480月のうち納付済月数が480カ月、全額免除月数が0カ月の場合は月額5310円が支給されます。年間になおすと6万3720円が支給されることになります。
支給対象となった場合、年金事務所から書類が送られてきます。申請しないともらえない給付金のため、必要事項を記載して提出しましょう。
なお、一度提出すれば毎年申請する必要はありません。給付額が改定された場合は「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が送られてくるため、こちらも必ず確認しましょう。
6. まとめにかえて
今回は厚生年金と国民年金の平均受給額や、年金から天引きされるお金について見てきました。
年金からも税金や保険料が天引きされるため、実際の手取り額は額面よりも少なくなります。このため、今のうちから計画的に貯蓄を備えておくことが大切です。
まずは老後に必要な金額を計算し、ゴールを設定することが重要になります。目標金額が算出できれば、目標に向かってどんな手段が最適なのか考えていきましょう。
老後生活を支える資産づくりの方法として、よく挙げられるのがNISAやiDeCo、個人年金などの資産運用があります。
保険料控除や、運用益が非課税になるなど、税制優遇制度を活用するのもひとつです。
当然ながら、運用にはリスクもつきものです。ご自身のリスク許容度に合わせて長く続けていける方法を見つけてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和6年4月からの年金額等について」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果ー」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
本多 奈都子