厚生労働省が検討している年金制度改革5つの項目のひとつに、国民年金(基礎年金)保険料の納付期間を、現行の「60歳になるまでの40年(20歳~60歳)」から「65歳になるまでの45年(20歳~65歳)」へ延ばす案が検討されています。
老後は旅行に行ったり、趣味に没頭したりと、ゆとりのある生活を思い描いている方も多いでしょう。
しかし、現実は物価の上昇や、国民年金納付期間の延長、また受け取る年金からも税金や保険料が天引きされ、思っていたよりもずっと少ない手取りになってしまいます。
今回は日本の公的年金制度についておさらいしながら、老齢年金の平均受給額と天引きされるお金について解説していきます。
実際の手取りをしっかり把握することで、ゆとりのある老後に向けて計画的にお金を準備していきましょう。
1. 日本の公的年金制度とは
はじめに、日本の公的年金制度について解説します。
1.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則として加入
- 保険料は一律
- 40年間保険料を支払うことで満額の年金を受給できる
1.2 厚生年金(老齢厚生年金)
- 国民年金に上乗せして加入
- 現役時代の所得などに応じて保険料が異なり、加入期間や支払った保険料によって受け取れる年金額が変わる
日本の年金制度は、老後の生活を支えるための社会保障制度で、大きく「国民年金」と「厚生年金」に分かれています。
国民年金は、20歳以上60歳未満の人が原則として加入する基礎年金で、専業主婦や自営業者などが対象です。
厚生年金は、企業や公務員などの雇用者が加入し、国民年金に上乗せされる形で支給されます。
年金は、現役世代が支払う保険料をもとに高齢者に給付される「賦課方式」で運営されていますが、高齢化社会が進行する中で、制度の持続可能性や給付額の見直しが課題となっています。
次章では、厚生年金と国民年金の平均受給額をみてみましょう。