3. 年収の壁(106万の壁)を超えるとどうなる?

2024年10月以降に、従業員50人以上がいる企業に雇用される従業員が年収106万円(月額8万8000円)を超えた働き方をした場合、企業には該当の従業員を社会保険に加入をさせる義務があります。

そのため、たとえば配偶者の扶養になっていた場合でも、扶養の資格を喪失して自身で社会保険に加入することになります。

配偶者の社会保険上の扶養となる条件は年収130万円未満です。ですが、年収106万円を超えた場合、勤める会社によっては社会保険に加入することになるため、そちらが優先となり扶養からは外れることになります。

社会保険に加入をすると、給与から健康保険料と厚生年金保険料が控除されるため、損をしたと感じる方も多いかもしれません。ですが将来的には、配偶者の扶養であっても加入期間とされる老齢基礎年金に加えて、月額の報酬と加入月数によって老齢厚生年金の額が増加されてくることになります。

簡単に、月額8万8000円で1年間勤務をした場合の、年額の手取りと年金額を試算してみましょう。

【勤務条件】

  • 勤務地:東京都
  • 加入保険:全国健康保険協会
  • 年齢:30歳代(介護保険料なし)
  • 月額報酬:8万8000円

【月額の社会保険料】

  • 健康保険料4391円
  • 厚生年金保険料8052円

【手取り給与(年額)】

(8万8000円△4391円△8052円)×12ヶ月=90万6684円

【受取年金額】

8万8000円×5.481/1000×12ヶ月=年額約5788円

年金額の計算「報酬比例部分」

年金額の計算「報酬比例部分」

出所:日本年金機構「は行 報酬比例部分」

※老齢基礎年金については、配偶者の扶養に入っていたとしても個人で国民年金を支払っていたとしても将来の手取りが変わることはないため、今回の試算では考慮していません。
※計算において、従前額保障は考慮していません。

年間14万9316円(社会保険料×12ヶ月分)の負担により、将来受け取れる厚生年金保険料の金額が年間約5788円増額となります。

つまり、元をとるためにはおおよそ26年間は年金を受け取ることが必要です。