75歳以上と一部の65歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度。
保険証は原則として2年ごとに更新されており、次の8月1日に新しい保険証となる見込みです。
しかし、12月にマイナンバーカードとの一体化が控えていることから、今年は異例の「有効期限1年」の保険証が送られてきます。
制度の概要や負担割合の確認方法、またマイナンバーカードとの一体化について確認しましょう。記事の後半では後期高齢者医療制度の保険料についても解説します。
※後期高齢者医療制度は都道府県ごとの運営のため、お住まいの地域によっては毎年の更新など、取り扱いが異なることがあります。今回は東京都の事例で紹介します
※資格取得のタイミング等によっては、必ずしも記事内の有効期限となるわけではありません。くわしくはお住まいの自治体ホームページや窓口等でご確認ください
1. 8月1日「後期高齢者医療制度」の保険証が更新
後期高齢者医療制度の保険証は7月末に有効期限を迎え、8月1日に新しいものが交付されます。
8月1日から使用できる保険証については、7月中に自宅に郵送される予定です。
新しい保険証が届いたら、有効期限とともに「自己負担割合」に変更がないかを確認しましょう。
1.1 医療費の自己負担割合
保険証が届いたときに必ず確認したいのが、医療費の一部負担金(自己負担)の割合です。
自己負担割合は、住民税課税所得等に応じて毎年8月1日に見直しが行われます。
もし所得に変動があった場合、自己負担割合が変動している可能性があるので注意しましょう。
2022年10月1日には、自己負担割合の見直しにより新たに「2割負担」が追加されました。
- 3割負担:現役並み所得者(同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合)
- 2割負担:一定以上所得のある方
- 1割負担:一般所得者等(同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合など)
※世帯の状況によって基準となる所得が変わるため、くわしくはお住まいの自治体窓口等でご確認ください。
これまで1割負担だったものが2割や3割になるということは、医療費が2倍・3倍になるということです。
75歳以上になると、そこまで所得が変動することはないと考える方も多いかもしれません。
しかし、筆者が公務員として対応していたときには、比較的「不動産の売却によって利益が出た」というケースが多いものでした。
生前整理として不要な空き家等を売却すると、一時的に所得があがります。
税金があがることは認識していても、医療費や介護サービス費の負担割合に影響することは知らず、窓口へ相談に来られる方は意外に多いのです。
保険証が届いたら、念のため自己負担割合を確認しておきましょう。
なお、東京都では有効期限がこれまで「2年間」でしたが、今年は異例で「1年間」となります。これは12月に、マイナンバーカードと健康保険証が一体化されるためです。
2. マイナンバーカードと健康保険証の一体化
2024年12月2日から、マイナンバーカードと健康保険証が一体化されます。
これにより、マイナンバーカードを使って医療機関を受診するようになります。
なお、マイナ保険証を持っていない場合、「資格確認書」が交付される予定です。
政府はマイナ保険証のメリットとして、以下の4点をあげています。
2.1 メリット1:より良い医療が可能になる
これまでの健診情報や薬剤情報を初めての医療機関でも共有できるため、適切な医療が受けやすくなります。
2.2 メリット2:健康管理に役立てられる
マイナポータルを経由することで、これまでの特定健診情報や薬剤情報が閲覧できるようになります。
紙の健診結果をどこかに放置したまま、埋もれていっている人にとっては振り返りがしやすくなるでしょう。
2.3 メリット3:医療費控除の申告が簡単になる
マイナポータルを通じて、確定申告の医療費控除手続きができます。
医療費通知情報の自動入力ができるため、これまでの申告に比べると楽になるでしょう。
2.4 メリット4:高額な医療費の立て替えが不要になる
高額療養費制度によって1か月あたりの自己負担額は上限が決められているものの、一旦は立て替える必要がありました。
こうした事態を避けるために「限度額適用認定証」を事前に取得することもできますが、急な入院では手続きが間に合わないこともあります。
マイナ保険証があれば、限度額を超える支払いが免除されます。
上記のメリットがある一方で、マイナンバーカードを利用できる医療機関・薬局がまだ少ないなどの課題もあります。
12月の一体化に向け、普及が進むのか注目が集まります。
最後に、後期高齢者医療制度における保険料目安を見ていきましょう。
3. 後期高齢保険料はいくら?保険料率と全国平均
後期高齢者医療制度における被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で下記のとおりです。
3.1 2024年度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均
- 被保険者均等割額の年額:5万389円
- 被保険者均等割額の月額:4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額の年額:8万4988円
- 平均保険料額の月額:7082円
3.2 2025年度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均
- 被保険者均等割額の年額:5万389円
- 被保険者均等割額の月額:4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額の年額:8万6306円
- 平均保険料額の月額:7192円
上記はあくまでも全国平均です。実際の保険料は、下記の2種類の保険料で個別に計算されます。
- 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
- 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料
次章では年金収入195万円の人をモデルとして、全国の保険料を比較してみましょう。
4. 後期高齢保険料の例【都道府県別】
ここからは年金収入195万円の人をモデルとして、全国の保険料を比較しています。
4.1 2024年度の保険料比較(年金収入195万円)
- 全国:5411円
- 北海道:6025円
- 青森県:5170円
- 岩手県:4583円
- 宮城県:5025円
- 秋田県:4808円
- 山形県:5017円
- 福島県:4937円
- 茨城県:5125円
- 栃木県:4883円
- 群馬県:5317円
- 埼玉県:4858円
- 千葉県:4775円
- 東京都:5044円
- 神奈川県:5213円
- 新潟県:4633円
- 富山県:5033円
- 石川県:5409円
- 福井県:5458円
- 山梨県:5685円
- 長野県:4845円
- 岐阜県:5167円
- 静岡県:5033円
- 愛知県:5858円
- 三重県:5212円
- 滋賀県:5119円
- 京都府:5886円
- 大阪府:6211円
- 兵庫県:5812円
- 奈良県:5667円
- 和歌山県:5808円
- 鳥取県:5608円
- 島根県:5345円
- 岡山県:5500円
- 広島県:5211円
- 山口県:6124円
- 徳島県:5792円
- 香川県:5617円
- 愛媛県:5460円
- 高知県:5833円
- 福岡県:6357円
- 佐賀県:5967円
- 長崎県:5508円
- 熊本県:6196円
- 大分県:6184円
- 宮崎県:5458円
- 鹿児島県:6275円
- 沖縄県:5913円
もっとも高いのは福岡県の6357円、もっとも低いのは岩手県の4583円でした。
同じ年収でも、都道府県別で月額約1700円程度の違いが出ました。
なお、2025年度にはさらに保険料があがることが決定しています。
4.2 2025年度の保険料比較(年金収入195万円)
- 全国:5673円
- 北海道:6325円
- 青森県:5415円
- 岩手県:4808円
- 宮城県:5216円
- 秋田県:5042円
- 山形県:5283円
- 福島県:5056円
- 茨城県:5358円
- 栃木県:4991円
- 群馬県:5567円
- 埼玉県:5067円
- 千葉県:5008円
- 東京都:5355円
- 神奈川県:5440円
- 新潟県:4850円
- 富山県:5033円
- 石川県:5573円
- 福井県:5458円
- 山梨県:6003円
- 長野県:5156円
- 岐阜県:5400円
- 静岡県:5275円
- 愛知県:6117円
- 三重県:5475円
- 滋賀県:5371円
- 京都府:6180円
- 大阪府:6495円
- 兵庫県:6134円
- 奈良県:5833円
- 和歌山県:6125円
- 鳥取県:5892円
- 島根県:5618円
- 岡山県:5758円
- 広島県:5438円
- 山口県:6408円
- 徳島県:6033円
- 香川県:5892円
- 愛媛県:5719円
- 高知県:6100円
- 福岡県:6641円
- 佐賀県:6250円
- 長崎県:5792円
- 熊本県:6259円
- 大分県:6509円
- 宮崎県:5675円
- 鹿児島県:6592円
- 沖縄県:6410円
もっとも高いのは福岡県で6641円、もっとも低いのは岩手県で4808円となる予定です。
差は月額で約1800円に広がります。
基本的に、後期高齢保険料は年金からの天引きとなるため、保険料があがれば年金の手取りが下がります。
5. 社会保険料が上がり続ける日本
8月1日には後期高齢保険の保険証が更新となる方が多いので、郵送されたら中身を必ず確認しましょう。
また、12月にはマイナンバーカードとの一体化も控えています。すでにマイナンバーカードで受診している人もいますが、普及率は高いといえません。
こうした制度の改革とともに注目したいのが、保険料の改定です。これまでも改定を繰り返し、保険料は上昇傾向にあります。
これは後期高齢だけでなく、国民健康保険や介護保険でも同様の傾向が見られます。
年金から天引きされる人にとって、手取額の減少が気になるところではないでしょうか。
また、現役世代にとっては「老後も社会保険料の負担が続く」ことを知った上で、老後資金の準備を進める必要があります。
制度の改正等には注視しておきましょう。
6. 【参考】会社員・公務員などが対象「厚生年金」の平均受給額一覧表
ここからは、厚生年金と国民年金の1万円刻みの受給権者数を一覧表でご紹介します。
<全体平均>
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
7. フリーランス・主婦などが対象「国民年金」の平均受給額一覧表
<全体平均>
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険証」
- 足立区「令和6年8月1日からお使いいただく後期高齢者医療被保険者証をお送りします」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット」
太田 彩子