2024年は、5年に一度実施される「財政検証」の年。公的年金の財務状況を総点検し、将来の年金給付水準の見通しを示す大切な作業です。
7月3日に厚生労働省が公表した試算によると、経済成長が横ばいを続けた場合、33年後の年金給付水準は現在から2割程度目減りする見通しに。
こうした報道を見聞きして、将来の年金に関する意識が高まったという人も多いでしょう。
今回は、年金制度のしくみをおさらいしたあと、いまのシニア世代がどの程度公的年金を受け取れているかを、厚生労働省の資料をもとに眺めていきます。
いまの年金給付水準がこの先もずっと続くとは限りませんが、令和のシニア世代たちがひと月どの程度の年金を受け取っているかを知ることは、現役世代が将来に向けた備えをするうえでヒントになりそうです。
1. 2024年は5年に一度の財政検証の年。年金のしくみも確認しておこう!
さいしょに、日本の年金制度のあらましについて復習しておきましょう。
「年金制度は2階建て」となどと表現されることがありますね。1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分にあたる「厚生年金」から構成されているため、このように呼ばれます。
国民年金と厚生年金、それぞれの違いをおさえておきましょう。
1.1 国民年金(基礎年金)
国民年金(基礎年金)の加入対象は、原則「国内に住む20歳以上60歳未満の全員」です。
年金保険料は全員一律(※)ですが、物価や現役世代の賃金などを踏まえ、年度ごとに見直しが実施されます。
40年間(480カ月)の全期間、年金保険料を漏れなく納付した場合、老後は満額の国民年金(老齢基礎年金)を受給できます。
※国民年金保険料:1万6980円(2024年度・月額)
1.2 厚生年金
厚生年金の加入対象となるのは、厚生年金保険の適用事務所に勤務し、一定の要件を満たした人。
厚生年金保険料は、報酬(給与・賞与など)により決まる「報酬比例」のしくみとなっています。老後に受け取る年金額は、厚生年金加入期間と、その期間中の稼ぎによって決まるというわけですね。
公的年金の基本的なしくみをおさえたところで、次では今のシニア世代が受け取る年金額を厚生労働省の資料をもとに見ていきます。