2. 「合意分割」と「3号分割」

年金分割制度には「合意分割」と「3号分割」の2つの制度があります。それぞれの概要を確認していきましょう。

2.1 合意分割

夫婦が離婚し次の条件に該当する場合に、婚姻期間中の厚生年金納付実績を分割できます。

離婚時の年金分割:合意分割制度

離婚時の年金分割:合意分割制度

出所:日本年金機構「離婚時の年金分割について」

  • 婚姻期間中に厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある
  • 夫婦の合意または裁判手続きにより分割割合を決めた
  • 離婚をした日の翌日から2年を経過していない

大前提として、婚姻期間中に少なくても夫婦のいずれかに厚生年金記録があることが条件です。年金分割する際の分割割合は、夫婦の合意で決めるのが原則ですが、合意が得られない場合は裁判手続きにより決定します。

婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)の多い方から少ない方へ、記録が分割されます。分割割合は2分の1が上限です。

合意分割の請求をした際に、3号分割の対象期間が含まれる場合は、合意分割とあわせて3号分割の請求もあったとみなされます。3号分割の対象期間は、3号分割による分割に加え、合意分割による分割も行われます。

2.2 3号分割

夫婦が離婚し、次の条件に該当する場合、国民年金の第3号被保険者だった方からの請求により、相手の厚生年金記録を2分の1ずつ分割できます。

なお、国民年金の第3号被保険者とは、配偶者に扶養されていた方のことで、専業主婦(主夫)やパート・アルバイトで扶養の範囲内で働いていた方などが該当します。

離婚時の年金分割:3号分割制度

離婚時の年金分割:3号分割制度

出所:日本年金機構「離婚時の年金分割について」

  • 婚姻期間中に平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間がある
  • 離婚をした日の翌日から2年を経過していない

年金分割の対象となるのは、平成20年4月1日以降の婚姻期間です。

3号分割は、分割することについて夫婦間の合意は必要なく、第3号被保険者だった方の請求のみで申請できます。また、分割割合は一律で2分の1になります。

ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権を有していて、分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、3号分割は請求できません。

次の章では、実際にどのように年金が分割されるか、計算方法を確認していきます。