2. 定額減税の二重取り問題とは

定額減税をめぐっては「二重取り問題」が話題になっています。

すなわち、定額減税を重複して享受するケースが生じるというものです。

鈴木財務大臣も閣議後記者会見において、「不公平であるといったご指摘があることは承知をしておりますが」との上で「国民の皆様にご理解をいただければと考えているところです。」と回答しました。

これは「一時的な措置であることから、減税の実施にご協力いただく企業や地方自治体の皆様の事務負担にも配慮することも重要であるとの考え方の下」としています。

なぜ二重取りが起こるのでしょうか。

考えられるケースとして、”年収が100万円超103万円以下”の扶養内パートの例が挙げられます。

年収の壁対策として、妻が上記の年収に収めながら働いているとしましょう。この場合、

  • 納税義務者の控除対象配偶者として夫が定額減税を受ける
  • 個人住民税所得割の納税義務者として妻が定額減税を受ける

ということが起こりうるのです。

このケースを防ぐには、源泉徴収義務者である企業や地方自治体が、控除対象となる配偶者の「個人住民税の所得割の課税状況」を把握する必要があります。

すべての把握には膨大な時間やコストが発生することから、冒頭の「国民の皆様にご理解をいただければ」との回答となりました。

3. 定額減税が十分受けられない人も

一方で、定額減税が十分に受けられない人もいます。

年間で受けられる減税が16万円だとしても、所得税と住民税を合わせて16万円も納税していない人は、十分な恩恵を受けられないことになります。

こちらにも不公平という声が上がっていますが、こうした世帯に対しての対策は進められています。

「調整給付」という形で給付を行うというもので、自治体によってはすでにプッシュ式で給付済みのところもあります。

年間の税額はまだ決定していないので、あくまでも「定額減税可能額が課税額を上回る」と見込まれる方が対象です(所得が1805万円を超える方は対象外)。

自治体や転入等の状況によっては申請が必須となるので、通知書等には必ず目を通し、期限内に手続きを済ませられるようにしましょう。