子育てをしていると、実の親や義両親、親戚、見知らぬおじいちゃんおばあちゃん達などから、「大変ね。でも、今が人生で一番いいときね」という言葉をかけられることがあるでしょう。それでも渦中にいると、「そんなこと言われても大変過ぎて実感できない」とか、「良い時期って思えない自分はダメなのかな」と受け取ってしまいます。

ただ、この言葉を口にする人が多いのも事実です。ひょっとすると、大変なときだからこそ、楽しんだ方が良いのかもしれません。

身にしみる「今が一番いいとき」という言葉

「あのときが一番良い時期だった」と思うことは、あなたの人生でもありませんか。たとえば「学生時代は毎日異性と学校で会えて良かったけれど、今は出会いがない」「大学時代に海外に行ったり資格取得をしたりして時間を有効に使えば良かった」「もっと本気で就活すれば良かった」など。20〜40代になると、一度はそんなことを思う人が多いのではないでしょうか。

これらと同じように、後になってから「もっと子育てを楽しめば良かった」と思う可能性はないでしょうか。いくら願っても、子どもが大人になれば、子どもには戻ってくれません。我が子の赤ちゃん特有の柔らかい肌や可愛らしい言葉、幼児特有の遊び方や親への愛情表現といったものは、永遠に見られなくなってしまいます。

そのことを思うと、今子育てを楽しんでおかないと、これまでと同じようにきっと後で後悔することが考えられそうです。

大変だからこそ楽しまなきゃ損

「核家族・ワンオペ育児・共働き」の現代。子育てを担う人手が大幅に減り、親の負担が増加した分、育児ストレスも増加していることでしょう。「毎日子どもにイライラしたり怒ってしまう」という声はよく聞きます。子ども3人をワンオペ育児する筆者も、同じ気持ちです。

このような状況下で、育児を楽しむことは難しいように思えるでしょう。一方で、これだけ大変な思いをしているのに、楽しまないのはもったいないとも言えそうです。

子育てに自分の時間、気力、体力のほとんどをかけ、大変な思いをしているからこそ、「楽しむ権利」もあるでしょう。特に大変な思いをしている親(主に母親が多いと思います)こそ、より楽しむべきではないでしょうか。

子どもの立場から考えると

親が子育てを楽しむことは、子どもにとっても良い影響を与えることでしょう。親が子育てを「大変だと思う」ということは、子どもからすれば「大変だと思われている」ということになります。

自分を育てることを、大変だと思われている…自分が子どもの身になってみれば、それがどれだけ悲しく、重いことか分かりますよね。親が大変だと思う気持ちは、敏感な子どもたちに少なからず伝わっています。親に対して悪い、と子どもは思ってしまうでしょう。

親が子育てを楽しめば、子どもも喜びます。自分は自分のままでいていいのだと思え、のびのびとした子ども時代を過ごすことができるでしょう。

育児を楽しむために考えたい3つのこと

では、親が育児を楽しむためにはどうすればよいでしょうか。イライラの根本的な問題は、「家事育児の圧倒的な人手不足」です。昔は祖父母、親戚、近所、たくさんの子どもと大人数で家事育児をしていたのを、たった1人2人が担うのですから、ここを解決する必要があります。

人手不足を補うために、「減家事」「便利家電の購入」はもはや当たり前と言えそうです。物理的な負担を減らすことが何より先決です。「女性が完璧な妻、母親を目指さない勇気」を持つことと、「男性が自分の母親と同じ姿を妻に求めないこと」が大切でしょう。
 
同時に、親も必ず毎日自分の時間をとりましょう。人間ですから、自分を大切にしなければ、他人まで大切にすることはできません。まずは自分を大切にすることで、周囲に優しくできる心の余裕が生まれるのが人間という生き物です。自分の時間をとることを、軽く見ず、後回しにしないでください。自分の時間を作る30分、子どもにテレビを見せても良いでしょう。

最後に考えたいのが、「育児は1人ではできない」ということです。乳幼児を大人が1人で育てるには、超人的な根気が必要になります。まず無理ですし、人間という生物は集団で子育てをするようプログラムされているのだそうです。

両親や義両親、きょうだいといった肉親に頼ったり相談する。旧友に相談する。支援センターなどに出向いてママ友を探したり、保育士などのプロに相談する。SNSでママ友と繫がるなど。人と繋がりを持つことを真面目に考え、頼り、相談しましょう。あなたが頼れば、向こうもあなたに頼りやすくなり、持ちつ持たれつの関係になれるでしょう。

こうしたことはよく勧められると思いますが、大切なのは真剣に検討し、行動することです。あなたの子育てが「人生で一番良いとき」の思い出になることを祈っています。

宮野 茉莉子