2024年6月21日に公開された内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上で一人暮らしをする人は男女ともに増加しているとのこと。

65歳以上の男女それぞれの人口に占める一人暮らしの割合に関して、1980(昭和55)年に男性4.3%、女性11.2%だった数字は、2020(令和2)年に男性15.0%、女性22.1%まで増加していました。

さらに、同調査で2030(令和12)年には男女ともに20%を超えると予想されています。

こうした中で、医療費の負担額は大きくなり、物価高は高齢者の生活に深刻な問題となっています。高齢者の暮らしがよりよくなっているとは言いがたいのが現状でしょう。

また、経済的な問題と比べて見落とされがちですが、高齢者のメンタル面においても気掛かりなところがあるといえます。

本記事では、高齢者と孤独の問題や高齢者の経済事情などについて解説します。

1. 65歳以上の世代で「親しくしている友人・仲間」は減少傾向にある

内閣府「令和6年版高齢社会白書」では65歳以上の男女に実施した「親しくしている友人・仲間をどの程度持っていると感じるか」の調査結果がまとめられていました。

【写真全3枚中1枚目】親しくしている友人・仲間がいるか(前回との比較)。2枚目以降では、65歳以上の単身世帯の家計収支などを掲載。

親しくしている友人・仲間がいるか(前回との比較)

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書 - 第1章 高齢化の状況:第3節〈特集〉高齢者の住宅と生活環境をめぐる動向について」

1.1 今回調査:2023(令和5)年度(対象回答数:2677)

  • たくさんいる:7.8%
  • 普通にいる:39.0%
  • ほとんどいない:36.0%

1.2 前回調査:2018(平成30)年度(対象回答数:1601)

  • たくさんいる:24.7%
  • 普通にいる:47.5%
  • ほとんどいない:21.5%

前回と比較して「たくさんいる」「普通にいる」と回答した人の割合は減少していることがわかります。

また、別の質問において人と話をする頻度は全体的に減少傾向にありました。

今回の調査結果を見る限り、65歳以上全体では完全孤立状態の人は多くはないものの、それでも他者との関わりが薄まっている様子がうかがえるでしょう。

次の章では、65歳以上単身世帯の家計収支についてみていきます。