5. 2024年度の公的年金は2.7%増額改定へ

2024年度の年金額は前年度から2.7%増額となりました。以下、年金額の例(1956年4月2日以後生まれの方の場合)を見ていきましょう。

5.1 国民年金(老齢基礎年金)

満額で月額6万8000円(前年度比+1750円)

※令和6年度の1956年4月1日以前生まれの方の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、月額6万7808円です。

5.2 厚生年金(夫婦2人分の年金額:夫婦2人分の国民年金を含む)

標準的な夫婦世帯のモデル年金額(夫婦2人分):月額23万483円(前年度比+6001円)

厚生年金の年金額は現役時代の年金加入期間や年収により計算されるため、国民年金のような”満額”はありません。

個人差もありますので、厚生年金のモデル年金額においては下記を想定しています。

  • 国民年金のみを受給する妻
  • 厚生年金を受給する元会社員の夫
  • 夫は40年間平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000万円で就業した場合で試算

妻(国民年金):6万8000円、夫(国民年金+厚生年金):6万8000円+9万4483円=16万2483円=合計23万483円

こちらも冒頭でお伝えしましたが、上記のとおり公的年金は前年度から2.7%の増額となりましたが、2023年の物価上昇率は3.2%。実質的には目減りとなります。

6. まとめにかえて

本記事では、厚生労働省年金局の最新資料より2022年度末現在の平均年金月額を確認してきました。

年金だけで生活できる高齢者世帯は半数以下。年金月額を見ても年金生活が厳しいものであることがお分かりいただけたと思います。

物価高による家計への影響がより大きいと考えられる低所得世帯に対して、政府は現金給付を行っています。

現在、年金生活世帯や低所得世帯に対して追加給付も検討されていますが、これらは一時的なものであり、根本的な解決とはならないでしょう。

現役世代の人たちは、老後に向けた準備を進める必要があります。老後生活を支える柱を、たくさん増やしておきたいものです。

参考資料

和田 直子