老後の大きな収入源となる「公的年金」の受給開始年齢は原則65歳からであることから、70歳代の多くがすでに老後生活を迎えていることが予想されます。

「老後生活は年金で生活していけるだろう」と考えている方もいるかもしれませんが、実は年金だけでは毎月赤字になる世帯が多く存在するのです。

実際に、2024年7月5日に公表された厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は41.7%であり、半数以上の世帯が年金だけでは生活できていない現状があります。

上記から、豊かな老後生活を送るためには「老後資金をしっかり準備できているか」が大切になります。

では、現在の70歳代において「貯蓄3000万円以上」を保有している世帯はどのくらいいるのでしょうか。

本記事では、70歳代におけるリアルな貯蓄事情について詳しく紹介していきます。

70歳代までに「老後資金を貯める方法」についても紹介しているので、参考にしてください。

1. 70歳代の平均貯蓄額はいくら?

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代の平均貯蓄額は下記の結果となりました。

【写真1枚目/全3枚】70歳代の平均貯蓄額。次の写真で「貯蓄3000万円以上」「貯蓄ゼロ」の割合を比較

70歳代の平均貯蓄額の一覧表

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」の各種資料をもとに筆者作成

【70歳代の平均貯蓄額】

  • 二人以上世帯:平均値1757万円、中央値700万円
  • 単身世帯:平均値1529万円、中央値500万円

貯蓄平均値は、二人以上世帯・単身世帯ともに1000万円を超えていることから「多くの世帯で老後までに資金を準備している」と感じた方もいるでしょう。

しかし平均値は、極端に大きい数があるとその数に偏る傾向にあるため、リアルな平均貯蓄額よりも大きな額になりやすいです。

そのため、一般的な70歳代の貯蓄実態を知りたい場合は、中央値を参考にすると良いでしょう。

70歳代の貯蓄中央値は、二人以上世帯で700万円、単身世帯で500万円であり、1000万円に満たない金額となっています。

また、70歳代の平均貯蓄額における平均値と中央値の差が1000万円以上となっていることから、貯蓄格差が広がっている現状がみてとれます。

次章にて、70歳代「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」の割合を、世帯別に見ていきましょう。