2024年6月21日に開かれた記者会見で、岸田首相は年金生活世帯や低所得世帯を対象に追加給付金を検討していると発言しました。

物価高による家計への影響がより大きいと考えられる世帯への支援策です。

世帯により事情は異なりますが、年金暮らしは悠々自適とはいかないでしょう。では、具体的に年金世帯はどのよう生活を送っているのか。

本記事では、その多くが年金暮らしを送っていると考えられる70歳代に焦点をあて、「貯蓄額・年金額・生活費」を覗いていきます。

現在のシニア世代の暮らしぶりを知ることは老後対策にも繋がります。参考にご覧ください。

1. 【70歳代】一般的な夫婦世帯の平均貯蓄額・中央値はいくら?

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)は次のとおり。

なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。

【写真4枚】1枚目/70歳代・二人以上世帯の貯蓄額円グラフ、2枚目以降/「厚生年金・国民年金」の平均年金月額一覧表

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:1757万円
  • 中央値:700万円

1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、より実態を反映していると考えられる中央値は700万円です。

貯蓄額ごとの世帯割合を見ると「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」がそれぞれ2割を占めており、二極化している様子がうかがえます。

現行の年金制度では老齢年金の受給開始年齢は65歳からとなりますので、すでに貯蓄を取り崩している世帯もあるでしょう。十分な貯蓄を準備できないまま老後を迎えた世帯も少なくないと考えられます。

貯蓄がいくら必要か、そしていくらあれば安心かは年金収入や生活費などにより世帯ごとに異なるものです。

では、一般的な70歳代夫婦世帯の年金収入や生活費はどれくらいあるのでしょう。

まずは年金収入から。次章で確認していきます。