中途半端に「分散投資」する人ほどお金が貯まらない

資産をつくるマインドと考え方

 経済においても不確実な要素の多い昨今、確実に儲かる投資先などなかなかないのが現状だ。かといって安全な投資ばかりでも資産は大きくは増えていかない。では、リスクをどれだけ取って、どのような配分で投資していけばいいのか。『年収1000万円の人が、5年で現金3000万円をつくる方法』の著者で横濱コーポレーション社長の菅沼勇基氏が解説する。

貯まらない人はいろいろな対象に投資する

 たとえば、あなたはどんな形で資産を保有しているでしょうか。ある人は現金で、ある人は不動産で、また、ある人は株式で……と千差万別です。

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 それでも、多くの人は、キャッシュとその他の資産で「分散投資」しているはずです。たとえば資産のうち、不動産が40~50%、海外・国内の株式が合わせて30~40%くらいで、キャッシュは1000万円もあればいいという人が多数派でしょうか。

 貯まらない人は、株もやればFXもやれば投資信託や仮想通貨もやるというように、さまざまな投資に手を出してしまいます。それがリスクヘッジすることだと考えているのですが、お金を貯められる人は、はじめはメインの投資対象を一つに絞っています。

 何をメインの投資対象に据えるかは、どのくらいの期間で、どんなふうに貯めたいか、自分としてどういう分野に興味や知識を持っているかなどによって変わってきます。ですので万人に対しての正解はありませんが、ここでは私の例を挙げつつ、「どう捉え、どう行動すればよいか」という基本的な考え方をお話しします。

分散投資は資産が5000万円を超えてから

 私の場合、メインの投資対象を不動産にしています。「不動産」と言うと、自宅の土地建物をイメージする人が多いのですが、この場合は投資対象としての不動産です。私は株もやらないわけではありませんが、資産形成の目的というよりは、あくまでお金のリテラシーを高める目的で行ってきました。ましてや、リスクヘッジのために行っているのではありません。

 というのも、「分散投資するのは、金融資産が5000万円を超えてから」と考えているからです。たとえば1000万~3000万円をどのように運用していこうかと考えたとき、分散投資していると、そのぶん実入りも少なくなってしまいます。5000万円以下のときは、集中投資をしなければ、大きな成果を出すことはできません。

 金融資産が5000万円を超えたときにはじめて「3000万円は集中投資して、残りの2000万円を分散投資する」というのであれば有効だと思います。

絞ることで勝つ確率が上がる

 投資対象を一つに絞ることのメリットは、「濃厚な経験が蓄積されて、より良い判断ができるようになること」です。

 たとえば不動産投資の場合、投資額が3000万円や5000万円の投資であっても、1億円、2億円の投資であっても、やることは基本的に同じです。意外に思うかもしれませんが、5000万円の新築アパートを1棟買うのと、3億円の新築マンションを1棟買うのとでは、考え方や投資のやり方は基本的にほぼ同じで、額が違うだけなのです。

投資は経験と情報がものをいう

 投資の世界は、「情報戦」であるのと同時に経験がものをいう世界でもあります。

 たとえば不動産投資をしながら、株式投資もしていると、株のほうにも目配せをしなければなりません。当然、株価がどのような要因で変動するか勉強し、現実に起こった社会情勢の変化によって株価がどう変動するかを経験していくことで、判断能力が少しずつ向上していきます。

 もちろん不動産投資も、市況や社会情勢、法律改正など、さまざまな要因によって価格が変動しますから、そうした変化を捉えて、どう行動していくか適切に判断しなければなりません。その判断には経験が大きくものをいいます。ですから、「経験を積み上げていくには、どれか一つに特化していったほうがいい」ということなのです。

「浮気心」のある人はお金が貯まらない

 日本ハムファイターズに入団した清宮幸太郎選手は、将来、プロ野球選手とラグビー選手のどちらになるか悩んでいたそうですが、高校生になるときに、はっきりと野球を選びました。

 マイナーなスポーツの場合は少し事情が違うかもしれませんが、それなりに選手層の厚いスポーツの場合、どれが自分に向いているのかを判断するのはせいぜい中学生まででしょう。高校生になったら「自分はこの世界で頑張っていくんだ」と覚悟を決めて努力する場合がほとんどだと思います。

 資産形成もそれと同じです。「浮気心」があってブレていると、経験がうまく貯まっていきません。

 不動産の場合、アパートを1棟買って終わりであれば別ですが、半年後や1、2年後にまた1棟買おうというときには、勉強を続けていかなければなりません。その際、1棟目を買ったときの経験が活かせます。最初の購入の際に「ちょっと失敗したな、もっといい物件があったかも」と思ったとしても、その経験は絶対にムダではなく、トライ&エラーを重ねることで次に活かせるのです。

経験を活かしつつ分散投資の効果を得る方法

「でも、分散投資してポートフォリオを組んだほうが、リスクは分散できるんじゃないの?」と考える人は多いと思います。

 集中投資して大丈夫なのか、リスクヘッジさせる必要はないのか、ということになりますが、たとえば不動産の場合、個人的には立地やエリア・間取り・築年数・構造が違っていれば、自然とそれで分散投資の効果を得られると考えています。

 そもそも不動産にはまったく同じものはありません。同じような建物であっても、前を通る道路の道幅が広かったり狭かったり、日当たりが良かったり悪かったりするからです。

 エリア的にも、たとえば、東京の世田谷区と港区では会社の数が違い、したがって雇用の数が違います。千代田区と八王子市では自然災害リスクが違います。新しく駅ができたとなれば、そこに住民が増える可能性があるので、もちろん不動産価格は上がります。

「分散投資」はさまざまな要素でできる

 また、建物の築年数によっても分散投資になると考えることができます。たとえば、3棟保有している場合、新築の物件、築年数10年の物件、20年の物件というふうに買えば、これで分散投資の効果はあります。

 当然、新築の物件のほうが価格は高いので、リスクも大きいと考えられます。「近隣に大学があるから大学生が入居するだろう」と見込んで新築のアパートを1棟買ってはみたものの、すぐに大学が移転を決めてしまうということもあるからです。

 しかし、これが築20年のアパートなら購入価格も安く、家賃も安い(価格競争力は高い)ので、新築ほど大きな影響はないと考えられます。もちろん、そのぶん、リフォームをしなければならなくなるとか、近所に新しいアパートが建つと空室が目立つようになるというリスクがあります。逆にこうしたリスクは新築にはありません。

筆者の菅沼勇基氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

価格を決める要素が多様なものは分散投資に向く

 ついでに言えば、木造かRC(鉄筋コンクリート)かによっても分散させることができます。RCのほうが木造よりも耐震性能は高いのですが、反面、解体費用はRCのほうが高コストとなります。木造なら、築年数が古かったとしても解体費用が安いので、更地にして土地を売ってしまうということもできます。

 このように、価格を決める要素が多岐にわたるものの場合、どのように投資しても分散投資になると考えることができるのです。私の場合、保有している物件はエリア的には神奈川県内だけですが、神奈川県といっても広いので分散投資になります。たとえば、横浜市と藤沢市では入居者の条件が違うので、普通に購入すれば自然と分散投資になるということです。

 このように、価格決定要素がさまざまにある投資対象の場合、一つの分野に絞り込んで経験を重ねながら、結果的に分散投資のようなリスクヘッジの効果を得ることもできます。個人的には不動産は比較的ラクに分散投資できると考えていますが、読者の方もご自身の投資分野で、同じような視点で「分散投資の効果が得られないか」と考えてみるといいと思います。

 

■ 菅沼 勇基(すがぬま・ゆうき)
横濱コーポレーション株式会社 代表取締役。1985年、横浜市生まれ。横浜市立大学卒業後、住友不動産を経て横濱コーポレーション設立。投資用不動産としてこれまで300棟の取引実績があり、現在、計300億円の資産を稼働率95%以上で運用。また、自身でも不動産投資を積極的に行い、家賃収入だけで年間2億円を超えるほか、医療法人の理事も務める。

菅沼氏の著書:
年収1000万円の人が、5年で現金3000万円をつくる方法

菅沼 勇基

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横濱コーポレーション株式会社 代表取締役。
1985年、横浜市生まれ。横浜市立大学卒業後、住友不動産を経て横濱コーポレーション設立。投資用不動産としてこれまで300棟の取引実績があり、現在、計300億円の資産を稼働率95%以上で運用。
また、自身でも不動産投資を積極的に行い、家賃収入だけで年間2億円を超えるほか、医療法人の理事も務める。