4. シニア雇用は拡大中! 定年を引き上げた企業は1.4ポイント上昇の26.9%

【写真全3枚中3枚目】雇用確保措置「実施済み」企業の内訳

雇用確保措置「実施済み」企業の内訳

出所:厚生労働省「令和5年 高年齢者雇用状況等報告」

調査した企業のうち、定年制を廃止した企業は3.9%、定年を引き上げた企業は26.9%、継続雇用制度を導入した企業は69.2%でした。

また、企業における定年制の状況は以下の通りです。

  • 定年制を廃止している企業:3.9%(9275社)[変動なし]
  • 定年を「60歳」とする企業:66.4%(15万7457社)[1.7ポイント減少]
  • 定年を「61~64歳」とする企業:2.7%(6502社)[0.2ポイント増加]
  • 定年を「65歳」とする企業:23.5%(5万5712社)[1.3ポイント増加]
  • 定年を「66~69歳」とする企業:1.1%(2699社)[変動なし]
  • 定年を「70歳以上」とする企業:2.3%(5361社)

定年を65歳と設定している企業は5万5712社あり、その割合は23.5%です。これは前回の調査から増加しています。

なお、株式会社LIFULLが実施した「シニアの就業に関する意識調査」によると、現在希望通りの仕事に就いているシニアは全体の約8割(79.3%)に達しています。

さらに、「5年以内に仕事探しをした方」に限定すると、約3人に1人(29.5%)のシニアが希望通りの仕事に就いていないことが明らかになりました

働き続ける選択肢が増える中で、自分の老後に関するライフプランをしっかりと立てていくことが大切になりそうです。

5. 「働き続ける」以外の老後の対策を

ここまで「在職老齢年金」の計算式について確認してきました。長く働き続けると想定している方も多いと思いますが、「在職老齢年金」には支給停止調整額があるため、給与などの報酬が高すぎることが、かえってマイナスとなるケースもあります。

またいつまでも心身ともに健康的に働けるかはわかりません。ですから、「働く」こと以外にも老後の対策をするとより安心でしょう。

対策として、昨今話題になっているNISAやiDeCoなどの資産運用を活用することも一つです。資産運用は長い年月をかけてコツコツ積み立てていくことで、雪だるま方式で資産を増やしていける可能性があります。

だたし「元本割れ」のリスクを伴うため、制度や仕組みを抑えておきましょう。NISAやiDeCo以外にも、個人年金保険や変額保険など多岐に渡り、それぞれ「メリット・デメリット」か異なるので「自分にとって何が最適か」慎重に見極めましょう。

一人で判断することが難しい場合はFPやIFAなどの「お金の専門家」に相談してみてはいかがでしょうか。

6. まとめ

本記事では「在職老齢年金」のしくみや計算方法を解説してきました。65歳以降に環境は変わったとしても「働き続ける」と考えている方も多いと思います。その際は「在職老齢年金」の計算をあらかじめしておきましょう。

2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」です。今後も支給停止調整額が「50万円」であり続けるわけではないので、都度確認をしておきましょう。

また、老後の資金対策として記事の後半で紹介した「資産運用」も視野に入れてみてはいかがでしょうか。これを機に理想のセカンドライフのための準備を始めていきましょう。

参考資料

LIMO編集部