5. 社会保険料は重い…どう付き合う?FPの提案

ここまで、国民健康保険のしくみと参考保険料について確認してきました。大事なのは公的な「保障」の内容を知っておくことです。

病気やケガなどで病院を受診したことがある方は、実際に窓口に支払う金額が3割負担になっていることに気付かれると思います。

実は、負担割合の軽減だけではなく、万一、月の負担額が多くなった場合に備えて「高額療養費制度」があることも押さえておきましょう。

「高額療養費制度」は所得により医療費の上限額を定めるものです。これにより、医療機関や薬局の窓口で支払った額が上限額を超えた場合、超えた金額が支給されます。

たとえば、70歳未満で年収370万円~770万円の人が入院したとしましょう。治療費が100万円かかったとすると、本来は3割負担で30万円の負担になります。

しかし、自己負担額はひと月あたり8万7430円となるので、差額の21万2570円があとから支給されるということです。さらに、1年以内のうちに3回以上の上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、月の上限額がもっと下がります。

先程の年収例に該当する方は、ひと月あたり、4万4400円となります。保険料の納付額は負担に思われる方が多いかと思いますが、制度としては諸外国と比較しても充実した制度といえるでしょう。

ただし、日本の保険制度では一定の負担額は軽減できますが、入院時の食費や個室に入られたときの差額ベット代は自己負担となります。

不足する分は民間の医療保険やがん保険で、万一があった時の大きな出費の備えをしておくとよいでしょう。

6. まとめにかえて

6月や7月から2024年度の国民健康保険料の支払いが始まりました。国民健康保険の加入者は国民年金にも加入しているため、そちらの負担も大きいでしょう。

さらに、保険料は年々増加傾向にあります。

払う保険料だけでなく、使える給付面にも目を向けて、利用できる制度がないか注視しておくことが大切です。

参考資料

入慶田本 朝飛