岸田総理は2024年6月21日の記者会見において、「年金(生活)世帯や低所得者、地方経済に焦点を絞って、思い切った検討をしてまいります。具体的には、物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。」と述べました。

2024年度の年金額は2.7%の増額改定となりましたが、年金で暮らすシニアは物価上昇に苦しむことから、追加の給付が行われるようです。

しかし、年金生活者の実態がわからない現役世代は「年金生活はそんなに苦しいのか」という疑問を抱くかもしれません。

そこで今回は、実際に支給された年金について、「60歳~89歳の年金平均月額」を国民年金と厚生年金にわけて1歳刻みで紹介します。

1. 2024年度の年金は2.7%の増額だが物価には負ける

2024年の年金は2.7%の増額改定となりました。「年金が上がることもあるのか」と思われるかもしれませんが、年金は物価や現役世代の賃金に合わせて毎年改定されているのです。

1.1 2024年度の年金「いわゆる一般家庭のモデル」

【写真1枚目/全7枚】2024年度の年金額の例。次の写真で1歳刻みの受給額をチェック

2024年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

改定の結果、国民年金は満額で6万8000円、厚生年金は23万483円となりました。

厚生年金の金額については、一般的な夫婦の2人分の合計額になっています。これは”平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」”での試算結果です。

なお、年金額の増加率は2.7%であるものの、それを上回る率で物価が上昇しているため、実際には目減りという現状にあります。

年収や夫婦の働き方はそれぞれ違うので、あてはまらない世帯も多いでしょう。参考までに、現役時代の収入ごとの「夫婦の年金例」も紹介します。