2019年に金融庁から発表された「老後2000万円問題」は、日本の老後生活には多額の資金が必要であるという現実を浮き彫りにしました。

現役中には実感が湧かないかもしれませんが、一般的には65歳から年金生活が始まります。年金額が多ければ安心ですが、実際に十分な金額を受け取れる方はどの程度いるのでしょうか?

2024年に厚生労働省が発表した国民年金の額は、対前年比で1750円増額され6万8000円でした。これは一見増額のように見えますが、老後の生活を支えるには心もとないでしょう。

一方、厚生年金も増額となっていますが、実際に受け取れる金額がどれくらいなのか気になるところです。多くの方が国民年金だけでは老後の生活費を賄うのが難しいと感じているのではないでしょうか。

そこで、今回は実際に年金を受け取っている方の金額を確認し、どの程度の方が月額30万円を超えているのかを見ていきます。老後の生活設計をする際の参考にしてみてください。

1. 日本の公的年金制度の基本「厚生年金と国民年金の仕組み」とは?

厚生年金と国民年金の仕組み

年金制度の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の二階建て構造で成り立っています。まずはその仕組みを確認しましょう。

1.1 国民年金(1階部分)

  • 加入対象: 日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員
  • 保険料: 一律
  • 受給額: 納付した期間に応じて決まる

国民年金は全ての国民が加入義務を持ち、一律の保険料を支払います。納付期間に応じて、将来受け取る年金額が決まります。

1.2 厚生年金(2階部分)

  • 加入対象: 公務員やサラリーマンなど
  • 保険料: 収入に応じた額(上限あり)
  • 受給額: 加入期間と納付額に応じて決まる

厚生年金は主に会社員や公務員が加入し、収入に応じた保険料を支払います。加入期間や納付額によって、将来受け取る年金額が変わります。

1.3 年金受給額の個人差

日本の年金は2階建て構造であり、個人の加入状況や納付期間などによって受給額に大きな差が生じます。

特に厚生年金は、収入に応じた保険料を収めるため、現役時代の収入が高いほど将来の受給額も増えます。

2. 2024年の年金支給日

年金は2カ月に1回、偶数月の15日に支給されます。2024年の支給日を確認して、計画的に家計管理を行いましょう。

  • 2月15日: 12月、1月分
  • 4月15日: 2月、3月分
  • 6月14日: 4月、5月分(早まる)
  • 8月15日: 6月、7月分
  • 10月15日: 8月、9月分
  • 12月13日: 10月、11月分(早まる)

令和6年度の年金額は昨年度に比べて2.7%の増額となっています。

適用は4月分からで、実際に受け取ることができるのは6月からです。支給日が土日祝日に重なる場合、その直前の平日に前倒しされることもあります。