現在の日本では、「物価上昇」「社会保険料の増加」などの課題により、老後に対する不安が広がっています。

しかし、老後を迎える際に不安ではなく楽しみを感じるためには、現状を把握し、適切な対策を立てることが重要です。

今回の記事では、最新の厚生年金事情を基に、将来の老後資金について詳しく解説します。しっかりと現状を理解し、適切な対策を講じることで、安心して老後を迎える準備を始めましょう。

厚生労働省が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に基づき、最新の年金受給額を詳しく見ていきます。

1. 厚生年金の「平均受給額」に潜む3つの罠を解説

厚生年金の平均受給額には理解しておくべき「3つの罠」が潜んでいます。

1.1 落し穴1:厚生年金の受給額は「国民年金込み」

厚生年金の受給月額は、国民年金と厚生年金の2階建て構造の総額です。

年金制度の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

「厚生年金の受給額=2階部分だけ」と誤解しがちですが、実際には国民年金分も含まれています。

公的年金は老後資金の基盤となるため、正確な情報を把握することが重要です。

1.2 落し穴2:報酬比例の年金=個人差が大きい

厚生年金は報酬比例のため、支払う保険料は年収に応じて変動し、受給額もその影響を受けます。

結果として、受給額には大きな個人差が生じます。

例えば、国民年金とほとんど変わらない人もいれば、月額30万円以上を受け取る人も存在します。将来の年金額を予測する際には、この点を考慮する必要があります。

1.3 落し穴3:男女格差が顕著

厚生年金は「年収」「加入期間」によって将来の受給額が決まるため、働き方が変わりやすい女性は男性に比べて受給額が少なくなりがちです。

結婚・出産・育児などでフルタイムからパートタイム、正社員から専業主婦に変わることがあると、将来の年金額に大きな影響を及ぼします。

老後の生活設計を考える際には、この点も十分に考慮することが必要です。