2024年現在、日本の公的年金制度は大きな変革期にあります。
厚生労働省によると、国民年金の保険料納付期間が5年延長される可能性が検討されており、もし実現すると60歳で完全に現役を退いて年金生活に入る人々が減少するかもしれません。
しかし、物価上昇率を上回るペースで年金額が増えていない現状では、実質の収入が減少していると感じる人が増えています。これにより、年金だけで生活することがますます難しくなっているでしょう。
そこで今回は、厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に基づき、最新の厚生年金と国民年金の受給額を見ていきます。
シニア世代の年金生活の実態を具体的に考えていきましょう。
1. 厚生年金と国民年金「公的年金」の仕組みをおさらい
日本の公的年金制度について、基本的な仕組みをおさらいしましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
日本国内に住む全ての20歳以上60歳未満の人々に加入義務があります。保険料は一律で、納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まります。
1.2 厚生年金(2階部分)
公務員やサラリーマンなどの労働者が加入します。収入に応じた保険料を支払い、加入期間や納付額によって将来の年金額が決まります。厚生年金は収入に応じた負担があり、その支払いには上限が設けられています。
近年では、公的年金に加えて企業年金や個人年金保険に加入する人も増えています。これらの「私的年金」は、年金の第3の部分として位置付けられ、老後の収入を補う役割を担います。
次章では、60歳代から90歳以上までの現代シニアが実際に受け取っている年金額について、具体的な一覧表を用いて詳細に確認していきます。