関西国際空港と成田国際空港はLCCで結ばれており、天候の影響を受けやすいという弱点はありますが、新幹線より安く東京と大阪の間を移動できます。関西国際空港(以下「関西空港」)と成田国際空港(以下「成田空港」)を旅行者として利用すると、様々な違いや共通点があることを感じ取ることができます。

飛行機が飛ばない! 代わりの手段はあるか?

飛行機を利用するとき、一番気になるのは、悪天候などの理由で飛行機が利用できない場合のことです。国際線を利用する場合は事情が違いますが、国内を移動する場合には、飛行機に次ぐスピードの移動手段として、新幹線の利用が考えられるでしょう。

JRおよび南海電鉄の「関西空港駅」から、新幹線の利用ができる「新大阪駅」までは、電車や高速バスなどを乗り継げば、1時間20分から30分ほどで到着することができます。また、成田空港から「東京駅」や「品川駅」までは、高速・連絡バスなどを利用すれば1時間30分ほどで到着することができます。

ただし、関西空港と内陸部を結ぶ唯一の手段である「関西国際空港連絡橋」は、強風などの影響を受けて規制が敷かれる場合もありますので、「飛行機はやめて新幹線で移動しなくては!」という事態になり次第、すぐに行動を起こす必要があります。

夜中も空港で過ごせる?

関西国際空港には24時間営業の飲食店やコンビニがあり、朝7時前や夜22時以降に営業する店舗も多く、空港の公式ページで確認することができます。

エアロプラザ2階の無料休憩所や、同じくエアロプラザ2階の有料でフリードリンク制のリフレッシュスクエア、第一ターミナルのKIX Airport LOUNGEなどは、空港内で夜を過ごす場合にも、お得に利用できるスポットとして知られています。

一方の成田空港は、24時間営業のエリアもありますが第3ターミナルが中心であり、空港全体の中では、24時間利用できる施設は限られています(北ウェイティングエリアは2018年7月10日9時まで工事中で閉鎖されています)。

なお、24時間チェックインができるカプセルホテル「ナインアワーズ成田空港」は、第2ターミナル直結です。

現地で必要なサービスを受けたいときは?

手荷物を預けたいとき

LCCは無料で持ち込むことができる手荷物の範囲を厳しく制限しています。もしも、搭乗前の手荷物検査で無料手荷物の範囲を超えていることが分かると、片道数千円の追加料金が生じる場合も。

そんなときは飛行機への持ち込みを諦め、空港の手荷物一時預かりサービスを利用したり、宅配便で荷物の一部を送るほうが、経済的かもしれません。

関西空港は手荷物預かり、宅配ともに第1ターミナルビルにしか受付場所がないのですが(1階、4階)、成田空港の手荷物預かりは第1ターミナル、第2ターミナルともに受付場所があり(第3ターミナルにはなし)、営業時間もバラバラです。

特に一時預かりを依頼した手荷物を、帰宅時に引き取る場合には、飛行機が事前にどのターミナルに到着するのかを確認し、便利な場所に預けておくのが良いでしょう。

ターミナル間を移動するとき

成田空港の各ターミナルは、無料のターミナルバスを利用して移動することができます。第2ターミナルと第3ターミナルの移動は徒歩での移動も可能で、連絡通路も設けられています(通路の途中に休憩所あり)。

関西空港も第1、第2ターミナル間を結ぶ連絡バスが運用されていて無料で利用できます。

利用者として感じることは、関西空港の連絡バスのほうが人がいっぱい、荷物もいっぱいという感じがするということです。とはいえ連絡バスの本数は多く、朝5時から夜23時ごろまでは2分~10分間隔で次のバスが来るので、満員で乗れなかった場合も慌てず、次のバスを待ちましょう。

その他の施設・サービス

関西空港、成田空港ともにさまざまな銀行のATMが設置されていますが、24時間利用ができるATMは関西空港のほうが多いようです。両空港とも、国際線出国手続き後のエリアにあるATMについて、1度に引き出しができる金額が3万円以下などの決まりがあります。

なお、関西空港には「リユース傘サービス」があります。第1ターミナル1階、2階、4階に傘立てが設けられていて、急な雨にあったとき無料で利用することができます。

空港で活躍する犬

筆者が5月18日に成田空港第3ターミナルを利用したとき、千葉県警の関係者に連れられた堂々とした体躯のシェパードに遭遇しました。シェパードは、近くで見ると少したれ目で甘えん坊な雰囲気すら感じられましたが、警察関係者と一緒に歩く姿には威厳があり、空港利用者は思わず道を空けていました。

成田空港を管轄する千葉県警には、爆発物の捜索、犯人の制圧、災害現場での救助活動などを行えるよう訓練された千葉県警直轄の警備犬と、警備犬を指揮するハンドラーが所属する部署が存在します。

一方、関西空港を管轄する大阪府警には直轄の警備犬はおらず、必要なときには、民間で飼育されている嘱託の警備犬に出動を依頼する形をとっていたそうです。しかし、2018年度から大阪府警でも直轄の警備犬を導入することが決定したとの報道がありました。

両空港とも、検疫探知犬や麻薬探知犬が活躍してきたことは知られていますが、これからは成田空港だけではなく、関西空港でも警備犬が活躍し始めるのかもしれませんね。

終わりに

開港40周年を迎えたばかりの成田空港。そして、日本で初めて旅客、貨物の両分野で24時間運用を行った空港として知られる関西国際空港。それぞれに特徴があり、またより快適な利用ができるよう改良が重ねられています。東京オリンピック・パラリンピックなどの国際イベントに向けて、2つの空港がどう変化していくのか楽しみですね。

河野 陽炎