4. 老後資金は2000万円あれば安泰なのか
近年話題となっている「老後2000万円問題」は、高齢無職世帯のモデル夫婦を例にしたケースであり、月に約5万5000円の赤字が発生してしまうことを想定した単純計算となっています。
各世帯によって家計収支は異なるため、「老後までに絶対に2000万円以上の資金準備が必要」というわけではありません。
老後も収入だけで、老後生活を送ることができれば、少ない貯蓄でも過ごすことが可能でしょう。
反対に、老後の収入よりも生活費のほうが大きく上回る場合は、貯蓄2000万円でも不足する可能性もあります。
老後資金準備においては、個々の世帯の状況やライフプランに合わせた、老後資金計画を立てることが大切です。
そのためにはまず、「老後の生活目標」を考え、どのような老後生活を送りたいか、具体的な目標を設定できると良いでしょう。
そのうえで、ご自身の将来受け取れる年金見込額と老後の支出をシミュレーションし、毎月いくら赤字にあるのか事前に知っておくことが重要です。
「毎月の赤字分×老後生活の年数」の金額を算出し、まずはこの金額を老後資金の目標額に設定しコツコツと準備していきましょう。
なお、老後に必要な資金は生活費以外に、医療費や介護費、葬儀費用なども必要になります。
最低限必要な老後資金の確保ができたら、さらに医療費や介護費などの資金準備もしておけると、より安泰な老後生活を送れるようになるでしょう。
5. 自分のライフプランに合った資金準備をしよう
本記事では、各年代の平均貯蓄額と、年代別における貯蓄2000万円以上の割合について最新データをもとに紹介していきました。
老後資金と聞くと「2000万円」をイメージする人も多いかもしれませんが、老後に必要な資金は人によって異なります。
仮に、老後の収入が多く、支出が極端に少ない場合は、寿命を全うするまでに老後資金を使いきれないといったケースも発生するかもしれません。
そのため、ご自身が受け取れる年金額を事前に確認して、自分のライフプランに見合う分の老後資金を算出しておけると良いでしょう。
自分が将来受け取れる年金見込額は「ねんきんネット」または「ねんきん定期便」から確認ができるため、老後資金準備の第一歩として確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 第8-5表」
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 第8-30表」
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
太田 彩子