2. 【RIZAPがSOMPOと提携する理由】chocoZAPへの影響は?
2.1 chocoZAPの顧客基盤拡大がさらに加速
現在、急拡大しているchocoZAPにはどのような影響が出るのでしょうか。分かりやすいのは、顧客基盤の拡大です。SOMPOグループは約2500万人の顧客基盤を持っており、単純な相互送客だけでも大きな効果が見込めます。加えて、法人顧客でもリーチできる範囲が広がるため、これまでアプローチできていなかった層の取り込みも図れます。
店舗出店にも弾みがつきます。SOMPOグループの400以上の介護施設や4万5000以上の代理店を活用できるようになるため、新規出店スピードをこれまで以上に加速することが可能になります。また、同社保険の年間継続率は非常に高いため、そのノウハウを生かした継続率の改善にも期待できます。
2.2 新事業と新サービスの創出でマネタイズを多様化
両社のデータを連携することで、新事業と新サービスの創出につなげられることも大きなメリットです。RIZAPはchocoZAP店舗とパーソナライズされたデータを活用した広告事業を展開していますが、SOMPOグループのデータが加わることで、さらに強化が見込めます。
さらに今後のロードマップとして描いていた医療や介護との連携も具体性を帯びてきます。法人事業や官民連携が深まることで、特定保健指導や健康経営支援などでも影響力が高まるため、マネタイズの多様化にも貢献していきそうです。
3. 【RIZAPがSOMPOと提携する理由】chocoZAPの成長戦略を前倒しで加速
chocoZAPの出店数は2024年5月15日時点で1500店舗を超えており、将来的には1万店舗以上を目指すと公表しています。ただ成長戦略において店舗拡大は通過点に過ぎず、最終的にウェルビーイングプラットフォームを構築して健康社会のインフラとすることをゴールとしています。
提携による中長期プランには、SOMPOとの連携によって生まれたさまざまな商品・データをchocoZAPが目指す日本最大規模のヘルスケアデータ基盤に接続する方針も記載されており、これまで提示してきた青写真の解像度がぐっと上がっています。また、将来的な展望としてグローバル展開にも言及しています。
2024年3月期の決算説明会で瀬戸健社長は現在地点について「Phase0(ジムのバリアフリー化)が完了し、Phase1(ユニバーサルサービス化)を進めていく段階」と語っていましたが、今回の提携によってPhase2(健康の社会インフラ化)実現に向けたプロセスも前倒しで加速していくことになりそうです。
参考資料
- RIZAPグループ株式会社
- RIZAPグループ株式会社リリース「SOMPOホールディングスとRIZAPグループが 資本業務提携契約を締結 ~誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現に向け~」
- RIZAPグループ株式会社「SOMPOホールディングス株式会社との資本業務提携による成長シナリオ」
大蔵 大輔