日本労働組合総連合会(連合)は「年金に関する調査2024」の結果を公表しました。
調査によると「年収の壁」について知らない人は56.4%と約半数を超えています。
「年収の壁」を知らないで働いていると、税金の面で損をしてしまうかもしれません。
今回の調査結果から、年収と密接に関係する年金事情をみていきましょう。記事後半では全体の年金受給権者数もチェックしていきます。
1. 【最新】「年金に関する調査2024」をチェック
日本労働組合総連合会「年金に関する調査2024」の結果をまとめていきます。
調査概要は以下のとおりです。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:15歳以上の男女1000名
- アンケート母数:675件
- 実施日:2024年3月27日~3月29日
- リリース公開日:2024年5月14日
1.1 「年収の壁」について理解できていない人が半数以上
103万円の壁、130万円の壁など、一定の年収を超えると税負担や社会保険料負担が増加する年収の壁を理解している人は全体で43.8%と約4割にとどまりました。
理解していない人の合計は56.4%、つまり半数以上の人が年収の壁を理解していないことになります。
世帯別で見ると共働きの世帯、とくにそのなかでも夫婦のどちらかが扶養に入っている世帯では理解している割合が最も高くなっています。
1.2 「労働時間を一定に抑える調整をしている」扶養に入る有職者の63.4%をマーク
年収の壁を意識して、労働時間を抑える調整をしている人は有識者全体で13.3%でしたが、扶養に入っている人に限って見ると全体の63.4%でした。
扶養に入っている人のうち男性は51.5%、女性では67.8%をマーク。
さきほどのアンケートで扶養に入っている人がいる世帯では年収の壁に対する理解が高かったことも納得の結果です。
扶養に入っていることで、一定の年収を超えると自分だけではなくパートナーも含めて社会保険料や各種税金額も増えてしまうため、それを避けるために年収を調整している人が多いと考えられます。
1.3 労働時間を調整している人の50%以上が「収入要件がなければもっと働きたい」
また、労働時間を一定に抑える調整をしている人のうち、「社会保険や税、企業の配偶者手当など、様々な制度の収入要件がなければ労働時間を延ばしたいか」という質問に対して「延ばしたい」と答えた人は57.9%となりました。
特に40歳代では90%となっており、物価高で生活が圧迫されているのに年収の壁のせいで思うように収入を増やせないといった背景があるのではないでしょうか。
また扶養に入っていることでパートナーの年金に入ることができることから、年金のために労働時間を調整している人もいるかもしれません。
次の章からは、そんな年金受給額について、年齢別にみていきましょう。