2018年4月27日に行われた、日新製鋼株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:日新製鋼株式会社 代表取締役 副社長執行役員 三好宣弘 氏
2017年度決算①
三好宣弘氏:日新製鋼株式会社副社長の三好でございます。これより2017年度決算の概要についてご説明させていただきます。
お手元の決算説明会資料3ページをご覧ください。2017年度決算の概況をまとめています。
当期の連結売上高は6,141億円、連結経常利益は188億円と対前年同期比886億円の増収、129億円の増益でございました。
活発な個人消費や企業活動に支えられ、自動車や産業機械等の需要分野を中心に鋼材需要は堅調に推移。昨年度より上昇傾向が続いていた鉄鉱石、石炭等の主原料価格は、年度後半には落ち着きを取り戻す一方、年度末にかけては亜鉛、燃料油等の副原料価格が上昇に転じています。
主原料価格上昇に伴うコストアップに関しては、自助努力を上回る部分のコストについて販売価格の見直しに取り組んでいます。
実力ベースの経常損益については、減価償却方法の変更(46億円のコストアップ)等の減益要因がありましたものの、グループ会社の増益等により88億円を計上。また決算ベースの経常損益におきましては、在庫評価益100億円により188億円を計上しております。
またステンレスに関しては、品質改善等の取り組み等により、実力ベースで50億円、決算ベースでは在庫評価益プラス41億円により91億円の経常利益を計上しました。
2017年度決算②
4ページをご覧ください。決算の諸数値でございます。
2017年度の実績です。売上高は6,141億円で対前年比886億円の増収。2行目の営業利益は176億円、対前回公表、対前年とも増益。経常利益は188億円。普通鋼で89億円、特殊鋼で8億円、ステンレスで91億円でした。経常利益も対前回公表および対前年比増益でございます。
(親会社株主に帰属する)当期純利益は130億円を計上しています。当期利益も対前回公表および対前年比増益でございます。
経常利益188億円のうち、在庫評価が100億円含まれていまして、これを差し引いた実力ベース、経常利益については普通鋼、特殊鋼で38億円。ステンレスで50億円。合計で88億円でして、対前回公表比28億円、対前年比19億円でございました。
2017年度諸元
続きまして、5ページをご覧ください。この決算の数値の背景にある諸元値でございます。3行目の粗鋼生産量ですが、普通鋼、特殊鋼で278万トン、ステンレスで66万トン、合計344万トンでございます。対前回公表、対前年とも減産でございました。
販売数量については、普通鋼、特殊鋼で302万トン、ステンレスで56万トン、合計358万トン。ほぼ前年度水準でございます。
なお、この粗鋼生産量と販売数量のギャップ部については、新日鉄住金より鉄源の分譲を受けています。鋼材平均単価については128円。対前年19円の鋼材価格のアップという状況でございました。
経常利益差異内訳①
6ページをご覧ください。対前回好評との差異内訳を簡単にまとめています。2017年度前回予想が180億円。今回実績値が188億円でございました。
販売関連でプラス20、購買関連でプラス15でございますので、販売、購買合わせて35億円のプラス。これはとくに販売価格の維持改善等の効果が大きく、四四期(第4四半期)の効果が出ています。
コスト等についてはマイナス22億円。四四期におきまして高炉の安定操業で、負荷をかけずに対応を図ったものでございます。なおこれについては、高炉の稼働延長計画に基づいて、今年度いっぱいかけて健全化工事を行っています。この四四期の対応についても、この一環でございます。
子会社については、国内のグループ会社が好調で15億円の増益。また在庫評価については20億円の減益でございました。この結果、対前回公表80億円の増益の数字でございます。
経常利益差異内訳②
続きまして、7ページをご覧ください。2016年度、2017年度の見方をまとめています。2016年度の経常利益59億円に対して、今回(2017年度は)188億円でございますので、129億円の増益。同様に販売と購買を見ていただきますと、購買が495億円の原料アップに対しまして、販売関連が515億円でございますので、いわゆる販売と購買のマージンでは20億円のプラスでございます。
購買欄を見ていただきますと、日新製鋼の主原料としての鉄鉱石、石炭、ニッケルおよびクロムが350億円のコストアップでございます。またその他副原料90億円のプラスがございましたが、販売関連におきましては価格差で485億円のプラス。また数量構成差では15億円のプラスでございました。
とくに価格差の485億円でございますが、日新製鋼の普通鋼、特殊鋼およびステンレスの8割ぐらいは、四半期でずれるような主原料の価格体系になっています。
従いまして、2016年度におきましては、四四期に石炭等の高騰があり、その期ズレ要因で2016年度は販売価格が低い水準。そのような期ズレ要因もあり、先ほどの主原料分については(2017年度で)カバーしたような状況です。これが価格差の485億円でございました。
一方、コスト等でございますが、減価償却費の変更影響が46億円、電力単価差がマイナス20億円等、81億円のコストアップ要因。また子会社等については、海外関連会社等、アセリノックス、国内の会社ではステンレスの2次加工等の日新製鋼ステンレス鋼管等の増益影響がございます。
在庫評価については、前年がマイナス10億円の在庫評価損に対しまして、今年度は原料の上昇に合わせて100億円の在庫評価比でございましたので110億円のプラス。合計129億円の利益改善でございます。
貸借対照表(2018年3月末)
次の8ページはバランスシートでございます。2018年3月末の総資産は7,166億円、対2017年3月末比102億円の資産増。内訳はたな卸資産で198億円、原料単価アップや数量増でございます。
一方、その他流動資産では未収入金等の回収がこの年度に集中して224億円の減少。有形・無形固定資産は償却費を若干上回る水準の減収があり、79億円の増でございました。
一方、右側の負債資産サイドですが、有利子負債は2,240億円と210億円削減しています。純資産は2,478億円、216億円の増でございます。利益計上に伴う利益剰余金の増および株式等の含み益等によるその他包括利益累計額の増でございました。
キャッシュ・フロー
9ページには、有利子負債の増の要因を創出できたキャッシュ・フローをまとめています。
営業キャッシュ・フロー443億円。税前利益156億円と減価償却費346億円にたな卸資産増加等がございました。(こちらは)日新製鋼の平均的なキャッシュ・フロー水準でございます。
投資キャッシュ・フローは、331億円の有形固定資産取得に際しまして、277億円でございます。去年の3月末に新日鉄住金の親会社株式を売却したこともあり、キャッシュ・イン・フローというかたちで入っています。
財務キャッシュ・フローは、このキャッシュ・フローで稼いだ分を有利子負債の減少に充当しています。
剰余金の配当
続きまして、10ページは剰余金の配当の状況です。期末配当については1株あたり15円。配当基本方針は下の枠の中に書いております。利益の改善に合わせまして、前回公表比5円の増配をする予定という取りまとめをしてございます。
設備投資・減価償却費
それ以降のページには、主要データを記載しています。
13ページは設備投資・減価償却費の状況です。2017年度の検修ベースは、減価償却費346億円に対して、設備投資額が361億円です。
有利子負債・D/Eレシオ
14ページは、有利子負債・D/Eレシオの状況でございます。2018年度の末はネットD/Eレシオで0.96億円と、10年ぶりに1を割る水準でございました。
簡単ですが、以上で私からの説明を終わらせていただきます。