4. 6月支給分から!2024年度の年金は2.7%の増額へ
物価上昇をうけて、2024年度の年金額は2.7%の増額となります。モデルとして例示されている年金額を見てみましょう。
国民年金の場合は満額で6万8000円。厚生年金の場合は夫婦合計で23万483円となりました。
ただし、この夫婦の年金は”平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」”という条件のもと試算されたものです、
働き方が多様化する現代では参考にならない世帯も多いと考えられるので、複数のモデル年金も確認しましょう。
厚生労働省が今年初めて提示した「現役時代の収入ごとの年金例」は以下のとおりです。
- 夫が報酬54万9000円+妻が報酬37万4000円:33万4721円
- 夫が報酬43万9000円+妻が報酬30万円:29万4977円
- 夫が報酬32万9000円+妻が報酬22万5000円:25万5232円
- 夫が報酬54万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:28万4588円
- 夫が報酬43万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:26万967円
- 夫が報酬32万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:23万7346円
- 妻が報酬37万4000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:24万7101円
- 妻が報酬30万円+夫が短時間労働者の平均的な収入:23万978円
- 妻が報酬22万5000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:21万4854円
- 夫婦ともに短時間労働者だった場合の平均的な収入:19万6968円
- 夫が報酬54万9000円+妻が国民年金のみ加入:25万4104円
- 夫が報酬43万9000円+妻が国民年金のみ加入:23万483円
- 夫が32万9000円+妻が国民年金のみ加入:20万6862円
- 妻が報酬37万4000円+夫が国民年金のみ加入:21万6617円
- 妻が報酬30万円+夫が国民年金のみ加入:20万494円
- 妻が報酬22万5000円+夫が国民年金のみ加入:18万4370円
例えば夫が報酬43万9000円、妻が短時間労働者だった場合、夫婦の年金額は26万967円です。
増額とはいえ、その上昇幅は物価上昇率を下回ります。多くの高齢者は、生活が楽になったと実感できないでしょう。
5. ねんきん定期便やねんきんネットで見込額を把握しよう
これまで年金に興味がなかったという方に向けて、「年金の男女格差」「直近の平均額」「モデル年金額」にわけてご紹介しました。
年金に対する印象が変わった方も多いのではないでしょうか。
1万円刻みの受給権者数をみてもわかる通り、年金受給額については個人差が大きいものです。興味を持ったタイミングを第1歩として、次は自分自身の年金額を確認しましょう。
ご自身の受給予定額については、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。どちらも見込額となり変動するものなので、定期的にチェックすることが必要です。
年金の受給予定額を確認した方は、多くが「思っていたより少ない」と感じられます。この場合、老後に向けて以下のような対策を検討しましょう。
- 公的年金を増やす方法を考える
- 私的年金を準備する
- 預貯金を貯める
- 資産運用をする
なお、老後対策はお金の面だけではありません。長く働くのであれば、健康維持やスキルアップも大切です。
あらゆる面から対策を考えていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
太田 彩子