2018年5月11日に日本証券アナリスト協会が主催した、株式会社アーバネットコーポレーション2018年6月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長 服部信治 氏

会社概要

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服部信治氏(以下、服部):アーバネットコーポレーションの服部でございます。本日はお忙しい中弊社2018年6月期、第3四半期の決算説明会にご出席賜りまして誠にありがとうございます。早速ですが会社の概要から説明させていただきます。

弊社設立が1997年7月でございます。資本金が約16億円となっております。当社の主な業務内容でございますけれども、不動産開発事業、その中でもとくに投資用ワンルームマンションの開発、1棟での販売が主力事業となっておりまして、そのほかにもファミリーマンション、コンパクトマンションの開発、分譲。テラスハウス等の開発、分譲等もやらせていただいております。

従業員の数でございますが、(2018年)3月末の現在で社外取締役、あるいは契約社員、子会社等も全部含めまして総勢54名という状況でございます。結成期が6月末日となっております。弊社のブランドでございますけれども、主力の投資用のマンションがアジールコート、コンパクトマンションがアジールコフレ、ファミリーマンションがグランアジール、そして戸建て住宅がアジールヴィラということでございます。

首都圏におけるマンション業界の現況

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第3四半期の決算の概況でございます。

いわゆるインバウンドの需要、開発等で都心の商業地の高値が続いているという状況でございます。 ご存知のようにインバウンド旅行者の来日が増えているということで、ホテル事業が非常に盛んになっております。そのことによってマンション用地についてもさらに高値で推移をしているという状況でございます。

城東・城北地域の需要拡大ということでございます。いわゆる割と都心に近い割には土地代が低かった城東・城北エリアの需要が拡大してるというところが現状でございます。

建設現場における人手不足ということでございます。

ご存知のようにオリンピックの工事、いよいよ本格的に始動しております。そのために職人不足がかなり深刻な状況になってきているということで、建築工事の長期化がどうかなと思っております。

販売の環境でございます。分譲用のマンション、ファミリーマンション等でございますけれども、7月から3月までの販売戸数が2万9,209戸。前年同決比が2万8,420戸でしたので若干増えているという状況でございます。在庫の戸数は逆に6,498戸ということで同6,749戸、若干在庫は減ってきているということでございます。

成約率が68.8パーセントということでございまして、前年同期比0.5ポイント増でございます。東京の区部については3ポイント増で71.1パーセントということで、70パーセントを超えたということでございます。

1戸あたりの単価は、5,900万円と前年同期比8パーセントの上昇をいたしました。一番大きな要因としてはタワーマンションが5,446戸の発売がありまして、前年同期比からすると108.5パーセント増。このタワーマンションが1戸あたりの単価を押し上げる要因の1つになったのではないかと考えております。

続きまして投資用ワンルームマンションの販売の環境でございます。

商業地を中心とした地価の高騰によりまして、ホテルの用地が非常に盛んに購入ということで、投資用マンションの用地の購入額もやはり厳しいという状況が続いておリます。そのことによって供給全体がかなり減ってきているというような現状ではないかなと思っております。しかながら、様々な投資目的によって需要はかなり堅調であると思っております。

ご存知のように年金不安を抱える若い方の購入が増えておりますし、また相続税対策で富裕層の購入も増えております。また法人等についても保有という動きがかなり出てる、ファンドのほうも保有が高いということ等であります。そういうトータルでは購入が非常に強いということも含めて需要は堅調だろうとなっております。

決算ハイライト(連結)

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続きまして決算のハイライト、連結でございます。

売上高、販売戸数は前年同期比85億円増でございまして462戸になったものの、大型の事業地の転売が今回ございませんでしたので、前年同期比4.2パーセントの微増となっております。

営業利益のほうでございますけれども、販管費は減ったものの国内外法人税等への一棟一括販売の減少によりまして、販売利益率が低下しておりまして、この影響は大きく前年同期比より11.4パーセント減少しております。

経常利益についても営業外費用等が減ったものの営業利益等の減の影響が大きく、前年同期比11.1パーセントの減となっておりますし、当期純利益についても課税所得の減少による法人税等の減はあったものの、経常利益減の影響が大きく、前年同期比11.1パーセント減の10億4,800万円となったところでございます。

四半期業績の推移

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続きまして四半期業績の推移でございます。

グラフのとおりでございまして、前期より悪いというところでございますが、通期の予想については変更はないということでございます。

貸借対照表

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続きまして貸借対照表です。

総資産は棚卸資産や、ホテル・収益物件の取得によりまして、前期比21億7,200万円増の257億3,200万円でございます。このうち流動資産は現預金の減、3億2,600万円があったものの、他の資産の増、12億7,300万円などによりまして、前期末比10億7,800万円増の207億8,800万円となりました。

固定資産はホテル、収益物件の取得等によりまして、前期末比10億9,300万円増の49億4,400万円となり、その結果総資産は257億3,200万円となりました。

負債は、棚卸資産の増加に伴う長短借入金の増が15億7,300万円。着工時の建築費計上等による買掛金の増が5億8,700万円。法人税等税の納付による未払い法人税等の減が3億4,500万円等によりまして、前期末比15億8,400万円増の182億2,300万円となりました。現預金は営業キャッシュ・フローによる減少5億8,600万円、投資回収フローによる減少8億400万円、財務フローによる増加10億6,300万円により、前期比3億2,600万円減の37億8,600万円となりました。

株主資本は、四半期純利益による10億4,800万円の増加があったものの、配当金の支払いによる4億7,700万円の減少により5億8,800万円の増加にとどまっておりまして、株主資本は75億200万円となり、安全度はより改善されたものと考えております。

株主消費率は前期末の29.3パーセントから0.1ポイント低下いたしました29.2パーセントとなりました。

キャッシュ・フロー計算書

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キャッシュ・フローの計算書でございます。

営業キャッシュ・フローですが、増加要因としては税金等調整前四半期純利益が15億3,500万円。買掛金の増が5億8,700万円。減価償却費8,800万円。減少要因としては、たな卸資産の増が12億7,300万円。リース投資資産の増が3億6,400万円。法人税等の支払いで7億7,700万円。前受金の減、その他で4億1,500万円となっております。

投資キャッシュ・フローでございますが、減少の要因としては収益物件等の取得によるものでございます。

財務キャッシュ・フローですが、増加要因としては短期借入金の増減で2億3,200万円。長期借入金の調達で61億2,400万円。減少要因として長期借入金の返済47億8,300万円。配当金の支払い4億3,500万円となっております。

物件の現況

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続きまして物件の現況でございます。

2018年6月期、579戸の受領の予定で今進んでいるところでございまして、このうち自社開発物件が74戸、買取再販5戸という内訳でございます。

(スライド記載の)1番上のアジールコフレ中野坂上は分譲マンションと投資用のマンションが混在している1棟の建物でございますが、これが無事、計上済でございます。

その下、LOVIE麻布十番からアジールコート西馬込までが投資用ワンルームマンションでございます。LOVIE麻布十番と中ほどのLOVIE銀座東が、いわゆるファンドへの一括でございますが、残りは投資用ワンルームマンションの販売会社への卸売の物件でございます。

アジールデューク目黒は、テラスハウスで現在販売中で、5戸のうち2戸計上済でございます。アジールデューク落合は、工事が膨れて外構工事をやっているところですが、一応販売に今入ったところです。

アジールメゾンド方南町は、アパートでございますが、これは売上計上済でございます。

カーサアマルフィ鷺沼ⅠとⅡでございますが、工事がかなり遅れている状況でございます。5月末の竣工で今やっておりますけども、もうしばらくかかるかもしれませんが、先ほどお話しましたオリンピック等も含めて、職人がなかなかいないということで、こういう小さい現場の職人ほど調達しにくい状況が続いているのが現状でございます。

買取再販は5物件やる予定でしたが、現在は3物件しか計上できてないのが現状でございます。

さて、(スライド)欄外にございますけども、2019年6月期(第22期)でございますが、自社開発用地契約済が610戸。うち、投資用ワンルームマンションが10棟(599戸)、アパートが1棟(11戸)でございまして、610戸の来期分は、実は投資用ワンルームマンションの10棟すべて、599戸分は契約済もしくは契約見込みということで、ほぼお客がついた状況になっておるわけでございまして、ほぼ来期の数字は読み切れていると思っております。

再来期以降、2020年6月期(第23期)以降でございますが、自社開発用地契約済が869戸ございます。このうち、これから設計であったり着工で工期が決まっているんですが、23期に入るのが810戸ぐらいでないかなと考えている次第でございまして、残りは24期に回すかたちになると思います。

再来期の23期分には、今マンション用地で購入している物件があるんですが、これをホテルに転移できないかなと社内的には検討に入っております。

開発物件のご紹介

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続きまして、開発物件のご紹介です。

マンションは、ご覧のようにいつもの当社のモノトーンでのデザインになっております。

テラスハウスはほとんど白というか、ベージュのデザイン外壁で、狭い空間で狭い通路の長屋方式でございます。明るく作ろうということで、白い外壁にしている次第でございます。

2018年6月期 通期業績予想

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続きまして、通期業績予想でございます。

先ほどもお話した通り、通期の業績については変更ございません。

首都圏におけるマンション業界の今後の展望

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続きまして、首都圏におけるマンション業界の今後の展望でございます。

いわゆる社会的人口増は当面続くと思っておりまして、東京については人口は増えていくと思いますし、またインバウンド効果もありまして、 開発投資意欲は高い状況が続くだろうと考えております。

2020年以降も見据えたホテル業界の土地取得が、2018年以降、非常に活発化しているという先ほどからのご説明の通りでございます。ホテル用地に引きずられるかたちで、マンション用地についても、かなり高くなっております。

城東・城北地域の地価の上昇傾向は、今後続いていくだろうと考えております。

販売環境でございます。分譲用のファミリーマンション等は2017年の3万6,000戸から2018年は3万8,000戸ぐらいに増加するんではないかと予想しておりますけども、1~3月の販売戸数が8,000戸と非常に多かったこともございますので、予想を上回る4万戸に近いかたちも期待できるのではないかなと考えております。

1~3月の成約率でございます。69.4パーセントと前年同期比3.4ポイント増となっております。来年12月(2019年)に消費税が上がるわけですが、 経過措置として、来年の10月の半年前の3月末までの契約した物件については、いわゆる消費税が8パーセントのままで大丈夫だという経過処置を取られる予定でございます。

そういう意味で、今から約1年間。来年3月までは販売会社等もデベロッパーも含めて、販売を活発化させると見込まれております。そういう意味では、販売がかなり進むのではないかなと考えます。

続きまして、投資用ワンルームマンションでございます。

地価高騰・ホテル業界との土地取得競争、供給不足傾向が継続しているところでございますし、投資利回りの低下が反転する兆しは見えておりませんが、不動産に対する投資需要は底堅いと思います。

先ほどもお話した通り、東京の人口の流入は続いております。賃貸需要については、一定以上に落ちこむことは決してないだろうと考えているわけでございます。

2035年までは、単身者の世帯は増え続けるという東京都が出しているデータもございます。そういう意味では、賃貸状況がこのまま続くと考えれば、不動産への投資需要については、底堅いものだと考えておりまして、投資用ワンルームマンションについては、これからも売れていくだろうと考えております。

首都圏地域別マンション供給動向

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続きまして、首都圏地域別マンション供給動向でございます。

23区全体とか、首都圏全体となっていて、当社の取り扱いでありますが、あまり連動性はないのかなと思います。

当社の特徴

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当社の特徴でございます。

設計会社をルーツとしたマンションデベロッパーでございますので、用地取得の可否を短時間で決定できる自社内に設計部が従事しているということでございますし、短期間で図面を入れて答えを出して、譲渡先にも答えを出していくかたちが取られています。

また外観デザインやエントランス、間取りに独自性を発揮しているということで、ご評価をいただいているのではないかと考えています。

特化した開発地域と開発物件ということでございますけれども、いわゆる開発地域を東京23区内、とくに環状八号線以内、駅10分以内に特化しております。

この部分のほとんどのものはやらせていただいております。人口流入が続く首都圏、とくに都心に限って、投資用ワンルームマンションに特化して開発して、一方で売却するというのをメインとしております。

徹底したアウトソーシングによる少数精鋭の組織体制と書かせていただいておりますが、前期末の実績で言いますと、連結の社員数が41名でございまして、社員名人当たりの売上は4億3,387万円、1名当たりの当期純利益で3,574万円で、かなり効率の良い経営ができているんではないかと考えている次第でございます。

ものづくりへの「5つ」のこだわり-①

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「ものづくり」へのこだわりでございます。

5つのこだわりをチャネルで持っておりまして、1番目でございますが、モノトーンでインパクトのある外観と書かせていただいております。

モノトーン、流行りの色、当然ながら業界でも白が流行ったり茶色が流行ったり、いろんな色が入るわけですけれども、当社は徹底的にモノトーンでやらせていただいております。

モノトーンはどんな色が流行っても存在している色でございますので、モノトーンでやっている限りは、これはいつ頃流行ったものとは言えないわけでございますので、デザインさえよければ、5年10年20年経っても先進的なデザインにしておけば、新しさを感じていただけるのではないかということで、印象に残るインパクトのあるデザインを提供していこうと考えております。

ものづくりへの「5つ」のこだわり-②

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こだわりの2番目でございますが、アンケートによるユーザーニーズの徹底分析と書かせていただいております。

当社の建物を作って、投資用ワンルームマンションなんかそうですが、最終的なエンドユーザーは賃貸のお客さまなんですが、当社は1棟でこれを販売会社に卸たり、個人の富裕層に売却したり、ファンドに売却したるするので、当社で賃貸の募集は実はやらないんです。

そういう意味で、いわゆるエンドユーザー。賃貸入居者のユーザーを的確につかむという必要性は、ものづくりのためには必要であろうということで当社のマンションに入居している方々、1年2年5年住んでいるような方に、定期的にアンケート調査をやらせていただいております。

どんな使い方をしているのか、どういうところに満足されているのか、どういうところに不満をお持ちなのかを分析して、ものづくりに生かすということをやらせていただいている訳でございます。

ものづくりへの「5つ」のこだわり-③

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こだわりの3番目に書いてございますが、空間を最大限に生かした収納スペースと書きましたけれども、アンケートをやった結果、お客さまのニーズにいちばん大きいのは、やっぱり収納スペースなんです。

とくにワンルームマンションでも、25平米は1つのプロジェクトの基準になっているわけですけれども、ワンルームマンションの中で、いかに収納をたくさん持っているかというのは、お客さまの要望を答えるために必要なことだろうと考えております。

ファミリーマンションでも同じですけれども、収納をいかに増やすかということです。ここに写っているのは、扉を閉めたという意味でございますけれども、このような状況で、一般的なワンルームマンション、25平方メートルもあるマンションですので、(スライド記載の写真を指しながら)ここから下のクローゼットも、だいたい付けているのが一般的でございます。当社クローゼットは、幅自体を他社よりも少しでも広くしたり、天袋まで作ります。

もう1つは、このドアの向こうに廊下があって、この壁の向こうに冷蔵庫置場があるんですが、この廊下・冷蔵庫置場の天井を1メートル90センチメートルに抑えることによって、室内側から大きな天袋を作るようなことをやって、収納スペースを増やすことをやっています。

また、最近当社ワンルームマンションで、ウォークインクローゼットを実は作るようにしています。全戸ではないんですが。部屋のかたちによっては、こういうウォークインクローゼットを作っていますが、これを作ることによって、収納が実は相当増えるんです。お客さまの評判も非常に、入居するときのポイントになっていまして。こういうものを作ったり、もちろん天袋も作っているわけですけれども。収納にこういう高めということをやらせていただいています。

また、下駄箱についても、ワンルームではあるんですが、できるだけたくさん作ろうということ。部屋によっては、とても大きさが違うんですが、できるだけたくさん靴が収容できるように。これは、女性の方がたくさんの靴をお持ちだというのは、アンケート結果が出ていますので、下駄箱については充実させようということをやらせていただいています。

また、いわゆる洗面化粧台、あるいはトイレ。これを一緒にしたサニタリールームでございますが、できるだけ収納を置きたい。トイレの上にも棚を付けたいということで、収納を少しでも多く作ることをやらせていただいています。

こういうことにより。当社のマンションの収納は、当社比で、10年前の同じ25平方メートルで作っていたときと比べて、今の当社が作っているワンルームマンションはわずか25平方メートルのマンションですけれども、(壇上のテッシュボックスを見せながら)このティッシュの箱でだいたい800個分くらいの体積で、収納を増やしています。

ウォークインクローゼットを使って作っている部屋は、だいたい1,200個分くらい、体積で収納が増えています。非常に収納が増えているということで、当社のマンションに住んだ方は、同じ広さのワンルームマンションに住み替えることは、たぶんできないのだろうと。物が入らなくなるわけですから。

入居率を高める、あるいは長く入っていただくためにも、非常に大きなポイントではないかなと考えている次第です。

ものづくりへの「5つ」のこだわり-④

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続きまして、5つのこだわりの4番目でございます。

自社開発までするこだわりのファシリティ「ユノバース」という商品名にしていますけれども、単身者用のお風呂を自社で開発して保有していまして、自社の物件のみに原則入れている商品でございます。一般的なワンルーム用のお風呂はこのかたちでございます。昔の古いビジネスホテルで使っていたようなお風呂です。ここに洗面化粧台が来て、トイレがあった。

本当に古い3点ユニットが入っていたやつから、トイレと洗面所を取り出したようなお風呂。これは1014というメーカーさんで作っている共通のかたちでございまして、身体はまったく伸ばせないということ。縁が非常に大きいです。作りやすく作っているので。お客さまを考えてというよりは、製造しやすく作っている感じがするんですが。ゆっくり単身者がお風呂に入れないという現状でございます。

これについても、非常に不満があって、「お風呂大きくしてほしい」という要望があったんですが、25平方メートルという限られた空間の中ですから、お風呂を大きくすると洋室が狭くなるという、単純なことになるわけでございますので。それはどうしたものかなということで、お風呂をあまり大きくしないで、快適な空間にできないかなと発想したのが、このお風呂でございまして。当社の「ユノバース」です。

例えば、浴槽を縦にしたんです。長手方向に浴槽を作って、肩幅は広いけれど足元は狭くていいので、こういうようなかたちのお風呂を作る。内寸を10センチメートルだけ広くして、1114というかたちでございますが、185センチメートルの人が、足を伸ばしてゆっくり入れるお風呂になっているわけでございまして。配管スペースを、一般的なのはこちらとこちらと、両方に配管スペースを持っているんですが、(身振り手振りをしながら)当社はこちらだけに配管スペースを取っています。

この風呂が入る中に、この風呂をほとんど設置できる工夫をしています。つまり、お風呂スペース全体、部屋全体に及ぼす影響はほとんどゼロにして、実質お風呂の中でゆっくり足を伸ばして入ることのできるお風呂を作ることができたわけでございます。ちょっとした気付きがあって、こういうかたちを作らせていただきました。

当初は大手のメーカーさんに、「これをどうだ」とか、「こういうお風呂を作れないだろうか」と相談をしたんですけれども、どこも作ってくれなかったものですから。当然ながら、この風呂が型ができていて、売れているわけですから、改めて作る必要もないということだったわけですが。

なんとか作りたいなということで、悔しい思いをしたので、OEMをやっている工場を探し出して、そこの社長に説明したら、「非常におもしろい」と。「こんなこと誰も考えなかった」ということで、一緒に作ろうと賛同していただきまして、このお風呂は完成したわけでございます。

せっかくだったら、真っ白できれいなお風呂にしようということで、いろんな金具・鏡などについてもおしゃれなものにしてございます。こういうものを買ってくるよりは若干原価は高いわけですけれども、差別化の商品にしていこうということで、お風呂自体の売出しはしないで、当社の物件に差別化商品として付けるかたちでやらせていただいています。

当社の物件の賃貸率が高い要因の1つではないかなと考えている次第でございます。

ものづくりへの「5つ」のこだわり-⑤

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続きまして、こだわりの5つ目でございます。

アートのある居住空間ということで、マンションの玄関ホールをミニ美術館のように、芸術作品を置くことを全物件でやらせていただいています。

私自身、設計士としてマンション設計を長いことやってきて、小さい空間にいかに使いやすい、効率のいい部屋を作るかという設計を長年やってきたわけです。しかし、本当に使いやすい、機能的、便利なだけでいいのかなと。機能性や便利を追求すると、余裕・遊びがまったくなくなってくるんです。それが人の住まいとして本当にいいのかなという、自分なりのジレンマがずっと若い頃からありまして。

あるときふっと、遊びが何かできないかなと考えたわけです。部屋の中に遊びを作るのは、なかなか難しい。そういうときにふっと、マンションの共通の空間である玄関ホールという広い空間を、遊びの空間にできないかなと発想して、オリジナルの彫刻作品、建っている街の歴史だとか、そこに住む人たちのコンセプトを考えながら、そこに合うような彫刻の作品みたいなものを作り出そうということで、オリジナルの玄関ホールの彫刻を設置することを思い立ち、全物件でやらせていただいています。

先日はある物件で、ある航空会社のキャビンアテンダントに入っていただいたり、空港スタッフに入っていただくように借り上げていただいたんで、それについては壁面が全部タイルで、世界地図を作りまして。そういうもので鳥の翼みたいなものを壁につけて、入居する方のイメージから作品を作ったり、その地域が下町だったら、下町の和風のイメージを取ってきて作品にしているということでございます。

CSR活動

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CSR活動でございます。

マンション玄関に彫刻を飾るという活動をずっとやってきて、芸術性の高いマンションづくりみたいなことを目指しているわけではございますが、マンションの玄関ホールに彫刻を飾る活動の中で、いろんな気付きがありました。

いわゆる大学で立体作品、立体アートをやっている学生さんについては、たくさんの人が受験をして入学してきて、大学院に純粋に進むんですが、卒業してそのまま制作活動を続ける方が、非常に少ないんです。

つまり、制作活動の機会がそれだけ日本だと少ないということなんですが、そういう学生のみなさんに、マンションで玄関ホールで彫刻なり、飾るスペース、あるいは活動の拠点になりうる可能性があるんだよ。全国で毎年何千も建っているマンションで、あなたたちは活動できる可能性があるんですよということに、気付いていただきたいなということで、彫刻のコンペをマンションの玄関ホールでやることにして、今年(2018年)で18回目の彫刻のコンペを開催するところでございます。

毎年、書類審査で百数十点の作品が来たものから、3点、優秀賞を決めました。その3名の方に、材料費・運搬費・交通費等全部差し上げて、実際の作品を作っていただいて、マンションが完成した玄関ホールに、その3人の方に持ち込んでいただいて第2次審査を行い、そこで最優秀賞を決定します。

最優秀賞については、優勝賞金、奨学金として100万円を贈呈し、その作品を買い上げて、そこの場所に永久展示をする活動をやっているわけでございます。

これは「AAC」という彫刻コンペでございます。「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション」、アートと建築の出会うコンペという名前でございますが、おかげさまで昨年「メセナアワード2017」ということで、当社のこの活動自体が「メセナアワード」の優秀賞をいただくことができたわけでございました。長く活動してきて本当に良かったなと思っているところでございます。

以上をもちまして、私の説明を終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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