3. 【解説】厚生年金との違いは?「厚生年金基金」の仕組み

この章では、厚生年金基金について解説していきます。

企業や業界団体が厚生労働大臣の認可を受けて設立されたのが「厚生年金基金」。国が運用する厚生年金の一部を代行し、厚生年金基金独自の上乗せを行う仕組みです。

主に、退職や転職後も勤務していた企業や業界団体が管理、運用しています。

ただし、加入期間により請求先が企業年金連合会(2005年10月以前は厚生年金基金連合会)になることもあります。

厚生年金基金の加入期間については、封書で送られてくる「ねんきん定期便」(35歳時、45歳時、59歳時)は確認できます。詳細は、日本年金機構にお尋ねください。

次の章では、企業年金の受給状況について過去の統計からみていきましょう。

4. 転職・退職時こそおさえたい「企業年金」

企業年金のうち、確定給付企業年金(DB)や厚生年金基金は、勤務3年以上で中途退職すると「脱退一時金」が支給されます。わずかでも一時金をもらった人は、それで転職前の企業年金は精算済みになります。

一方、企業型確定拠出年金(DC)は中途退職をしても、原則60歳になるまで年金資産を引き出せません。

自分で手続きし、転職先の会社の制度や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの制度に持ち運ばなければならないのです。

持ち運び(ポータビリティ)が可能かどうかについては、厚生労働省のサイトなどで確認してみてください。

転職先の会社に企業型確定拠出年金(DC)があった場合には、DBの脱退一時金を企業型確定拠出年金(DC)に移換できます。ただし、転職先に企業年金制度がない場合は、iDeCoや通算企業年金に移換する方法があります。

転職や退職のタイミングで手続きが必要になるのは、企業型確定拠出年金(DC)の加入者。企業型DCには、60歳になるまで元の会社が資産を預かる制度はないため注意が必要です。

しかし、転職前に「企業型DCに加入している」という自覚がないまま働いていた人や、仕組みをよく理解していない人により企業型DCの資産が放置されてしまうケースは少なくありません。

国民年金基金「令和4年度国民年金基金連合会業務報告書」によると、手続きせず現金化されてしまい、国民年金基金連合会に年金資産が自動移換された「自動移換者」は、2023年3月31日時点で66万1528人にものぼります。

最後に、こうした企業年金の受給漏れを防ぐポイントを解説します。