3. 老後資金が不足する人の対策方法4選
先述した2022年度末のデータに基づくと、男性の厚生年金の平均受給額は年間約196万円、女性は約125万円でした。
国民年金であれば、満額で年間約81万円です。
これらの金額を基に、老後の生活設計を考えますが、年金だけでは生活が難しい…と感じる人も多いはず。
そんな方々が講じるべき対策には、以下の4つがあります。
3.1 老後資金が不足する人の対策方法1:iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された金融商品(定期預金・保険・投資信託など)を自ら運用する制度です。
掛金は5000円から上限まで自由に選択でき、上限額は職業によって異なります。
税制優遇が大きく、運用益も非課税となるため、効率的に資産を増やす手段として有効です。
しかし、投資信託などを選択した場合、運用リスクがあります。
また、iDeCoは60歳までお金の引き出しができませんので注意が必要です。
3.2 老後資金が不足する人の対策方法2:新NISA制度の活用
2024年1月からスタートした「新NISA制度」は、日本政府が個人の資産形成を促進するために設けた税制優遇制度です。
従来のNISA制度を拡充し、より多くの人々が長期的に投資を行い、資産形成を行いやすくすることを目的としています。
年間投資の非課税額は、「成長投資枠」に年間240万円、「つみたて投資枠」に年間120万円、合計すると年間360万円まで利用できます。
また、非課税期間は期限がなくなり、一生涯投資できます。
仮に、50~55歳から60歳まで、1か月あたり5万円ずつを利回り3%で運用することができれば、55歳からの5年間では約323万円、50歳からの10年間では約699万円も貯めることができます。
もし目標額を1000万円に設定した場合は、14年間で達成できます。
どんな場合も、自分のリスク許容度に応じた投資商品を選び、計画的に資産形成を進めるようにしましょう。
3.3 老後資金が不足する人の対策方法3:老後に向けた支出の見直し
50歳代は役職手当や家族手当などさまざまな手当がつくことで、年収が高くなる時期です。
収入に応じて知らないうちに生活レベルもあがっているかもしれません。
知らないうちの贅沢習慣が身についたままだと、将来、役職定年で収入が減ったとき、または年金内で生活するときなど、生活レベルを下げるのに苦労するでしょう。
早いうちから、住宅ローンを含めた日々の生活のすべては、手取りの7割でするようにして、残り3割は必ず貯蓄するようにしましょう。
そのような習慣にしておけば、将来、収入が減った場合でも、窮屈でストレスのたまる生活をすることがなくなります。
3.4 老後資金が不足する人の対策方法4:60歳以降も厚生年金に加入して働く
老後資金を増やすには、できる限り働いて収入を得ることが大切です。
たとえば、60歳以降も再雇用・再就職などで会社に勤務する場合、厚生年金に加入し続けられます。
国民年金は原則60歳までの加入となりますが、厚生年金は70歳まで加入可能です。
働き続けて加入月数が増えれば、将来受け取れる年金額も増加します。
ただし、厚生年金に加入して働くには、一週間の所定労働時間が20時間以上あることや、賃金の月額が8万8000円以上であることなどの要件があります。
仮に1日7時間勤務であれば約3日、6時間であれば約4日働けば要件をクリアできます。
長く働くには、健康状態がよいことが前提になります。
老後に向けた体力づくり、健康管理を怠らないようにしましょう。