6月支給分からの年金額が、2.7%の引き上げとなります。
実際には物価上昇率の方が高いため、実質には目減りとも言われる公的年金。長い老後を過ごすためには、できるだけ金額が多いほうが安心といえます。
実は、繰下げ受給という制度を利用すれば、月額15万円の年金も月額27万6000円にまで増やせるのです。
年金に詳しくない現役世代の方は、夢のような制度に思えるでしょう。しかし、その利用率はとても低いのが現状です。
実は、繰下げ受給には注意すべきデメリットがいくつかあります。
本記事では年金繰下げ受給の概要や、年金がいくら増えるのかをシミュレーションします。後半では、特に夫婦が気をつけたい繰下げ受給の注意点について見ていきましょう。
1. 年金の繰下げ受給を利用すれば「月額15万円が27万6000円」に増える!
年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始年齢を遅らせることにより、老齢年金の受給額が増える制度のことです。
具体的には、本来は65歳から受給することになる年金について、66歳以降に遅らせると1ヶ月あたり0.7%ずつ受給額が増えるというものです。
- 増額率(最大84%※1)=0.7%×65歳に達した月※2から繰下げ申出月の前月までの月数※3
※1 昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。
※2 年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、65歳に達した日は、65歳の誕生日の前日になります。
(例)4月1日生まれの方が65歳に達した日は、誕生日の前日の3月31日となります。
※3 65歳以後に年金を受け取る権利が発生した場合は、年金を受け取る権利が発生した月から繰下げ申出月の前月までの月数で計算します。
1年遅らせると8.4%。10年遅らせると、84%も増えるという計算になります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金のどちらか一方のみを繰下げすることも可能です。
次章では、具体的にいくらずつ年金が増えるのかシミュレーションしてみましょう。