4. 年金を取り巻く問題

年金制度に関する問題は、支え手である現役世代の減少です。

2019年に実施された年金財政検証では、現役世代の収入に対する年金額の割合である「所得代替率」が約2割減少しています。

本来、公的年金は物価や現役世代の賃金の伸び率に合った支給水準を設けています。

しかし、少子高齢社会で現役世代の保険料負担が増やせないため、マクロ経済スライドが発動します。

そのため、将来的に現役世代の賃金が上昇したとしても、公的年金の支給額が調整されるので、年金の支給額が抑えられます。

年金制度を支える現役世代の人数や負担にどのような対策ができるか、今後の財政検証で重要なテーマになるでしょう。

5. 2024年の財政検証はどうなるか注目

年金制度の財政状況を確認する財政検証では、さまざまな観点から年金制度を検討します。

保険料の納付期間を延長した場合や、現行制度で厚生年金保険料を支払っていないパートタイマーが保険料を納付した場合のシミュレーションが行われる見通しです。

財政検証によって、今後の年金制度にどう反映していくのか、引き続き注目が集まります。

参考資料

川辺 拓也