厚生労働省は5月14日に、65歳以上の第1号被保険者が納入する介護保険料について見直しを行った結果、2024〜2026年度の基準額が全国平均で月額6225円になると発表しました。2021〜23年度が6014円だったので、3.5%の増額です。

公的年金も増額されたとはいえ実質的には目減りしている状況にあり、介護保険料も増額となると高齢者にとって負担が大きくなることが考えられます。

本記事では、介護保険料の概要について確認するとともに、介護保険料の増額の実態などを解説していきます。

1. 介護保険の概要

介護保険は、高齢者などの介護を社会全体で支え合うことを目的として、2000年から施行された制度です。

少子高齢化や核家族化の進行、介護離職問題などが背景となっています。

1.1 第1号被保険者と第2被保険者に分かれる

介護保険の被保険者は、年齢により以下の2つに分かれます。

  • 第1号被保険者:65歳以上の方
  • 第2号被保険者:40歳から64歳までの医療保険加入者

第1号被保険者は、要支援・要介護状態になった場合に、原因を問わず介護保険の給付対象になります。

しかし、第2号被保険者は要支援・要介護状態になった原因が、老化に起因する特定疾病(※)の場合にのみ給付を受けられます。

※特定疾病とは:「がん」や「関節リウマチ」、「初老期における認知症」など16種の疾病のこと

1.2 介護保険料の徴収方法

40歳から64歳までの第2号被保険者の介護保険料は、原則として勤務先から支給される給与や賞与から医療保険料に上乗せする形で天引きされます。保険料は、被保険者と勤務先の折半です。

自営業や個人事業主などの国民健康保険に加入している方の場合は、国民健康保険料に上乗せして徴収されます。

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、「年金から天引き(特別徴収)」と「納付書払い(普通徴収)」のいずれかの方法で納付します。

  • 特別徴収:年金受給額が年間18万円以上の場合。年金から自動的に天引き
  • 特別徴収:年金受給額が年間18万円未満の場合。納付書や口座振替で納付