2. 国家公務員でも老後生活が赤字に?
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、全体の約4割の元国家公務員が、老後生活に赤字が生じていると回答しています。
「ゆとりがある」と回答した人は全体の1〜2割程度となっており、約8割の世帯では「ゆとりがない」「赤字が発生している」など、生活苦になっている実態がうかがえます。
国家公務員は退職金だけでなく年金も多く受け取れるイメージがありますが、実際は元公務員でも多くの人が生活に余裕のない状態で老後生活を送っているのが現状です。
では、老後生活を迎えている平均的な夫婦世帯の場合、どのくらい生活費が赤字になるのでしょうか。
2.1 平均的な夫婦世帯だと毎月どのくらい赤字になる?
総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な家計収支は下記のとおりです。
- 実収入(総支給額):24万4580円
- 可処分所得(手取り収入):21万3042円
- 消費支出:25万959円
- 毎月の不足分:3万7916円
平均的な手取り収入は約21万円に対して、消費支出は約25万円となっており、毎月約4万円の赤字が発生しています。
上記のデータはあくまで年金等の収入が「21万円」であることが前提で、世帯によってはさらに赤字額が増える可能性もあります。
つまり、将来受け取れる年金額によっては「毎月10万円以上の赤字」になる可能性もあるのです。
さらに、老後生活は毎月の赤字分の補填だけでなく、医療費や介護費用、葬式費用といった大きなお金も突然必要になるケースもあります。
上記もふまえ、安泰な老後生活を送るためには、ご自身の受け取れる年金見込額を事前に把握し、年金だけでは不足する金額を事前にシミュレーションしたうえで、老後資金の準備をしておくことが大切になるでしょう。
では、老後に受給する年金収入はどれくらいか。次章で「国民年金・厚生年金」の平均月額を確認していきましょう。