5年に1度の財政検証が行われる今年、老後の年金に対する関心がますます高まっています。

毎年送付される「ねんきん定期便」を再確認する人もいるでしょうが、ねんきん定期便には記載されていない「加給年金」をご存知でしょうか。

本記事では、老齢年金に加算される加給年金について解説します。2024年度の金額が改定され、最大で約88万円の上乗せになる方もいます。

加給年金が受給できる人が繰下げ受給をする場合の注意点も紹介しますので、受給方法を考えるときの参考にして下さい。

1. 加給年金とは

加給年金とは、長期間厚生年金に加入していた人に一定要件を満たす配偶者や子どもがいる場合に老齢厚生年金に加算される年金です。

加給年金の受給要件と受給期間について見ていきましょう。

1.1 加給年金の受給要件

加給年金の受給要件は、次の2つの要件を満たすことです。

  • 本人が厚生年金(共済を含む)に20年以上加入している
  • 65歳到達時点で本人に生計を維持されている配偶者または子がいる

ただし、配偶者や子どもが次の条件を満たさなければなりません。

  • 配偶者:65歳未満で厚生年金加入(共済を含む)が20年未満、または20年以上だが老齢厚生年金の受給が始まっていない
  • 子ども:18歳到達年度の末日まで(高校卒業の3月まで)、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満

加給年金の請求手続きは、老齢年金と同時に行います。

1.2 加給年金の受給期間

配偶者に対する加給年金と子どもに対する加給年金の支給期間は次の通りです。

  • 配偶者:本人が65歳から配偶者が65歳(※)になるまで
  • 子ども:本人が65歳からこどもが18歳到達年度の末日まで、または1級・2級の障害の状態にある20歳になるまで

※配偶者が厚生年金に20年以上加入している場合、配偶者が老齢厚生年金を受給開始するまで。

配偶者が年上であったり、本人が65歳時点で子どもが高校を卒業している場合などは、加給年金の支給はありません。

2. 2024年度の加給年金はいくら?

加給年金の金額は年金額改定に伴い、毎年4月に変更されます。

2024年度の加給年金額について解説します。

2.1 配偶者と子どもに対する加給年金額

2024年度の加給年金額は、年金額改定に伴い前年より2.7%アップしました。

配偶者に対する加給年金と子どもに対するものでは金額が異なります。

また、子どもの中でも1人目・2人目の子どもと3人目以降の子どもでも加算額は異なります。

【写真1枚目/全2枚】加給年金の金額。2枚目の写真で気をつけたい”繰下げ受給”もチェック1/2

加給年金の金額の一覧表

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」を参考に筆者作成

2.2 対象となる配偶者と子ども2人がいれば加給年金額は約88万円

対象となる配偶者や子どもが複数いる場合、それぞれに対する加給年金の合計金額を受給できます。

対象となる配偶者と子ども2人がいる場合、加給年金額は約88万円になります。

  • 加給年金額=40万8100円(配偶者※)+23万4800円(子)+23万4800円(子)=87万7700円

※配偶者が1943年年4月2日以後の場合

ただし、配偶者が65歳になったり子どもが高校を卒業するなどすると、加給年金額はその都度減っていきます。

家族状況によってはかなり高額になる加給年金ですが、繰下げ受給する場合、注意しないと損をする場合があります。

次章では、繰下げ受給する場合の注意点とおすすめの対応方法を解説します。

3. 加給年金受給者は繰下げ受給に注意

加給年金の受給権がある人が、繰下げ受給するときの注意点とおすすめの対応方法を紹介します。

3.1 加給年金は繰り下げするともらえない

加給年金額は、繰下げ受給による年金額の増額の対象にならないため注意が必要です。

年金の繰下げ受給とは2/2

年金の繰下げ受給の説明図

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成

繰下げにより老齢年金額は1か月あたり0.7%増額します。

例えば、夫が65歳、妻60歳で夫が65歳から70歳まで老齢厚生年金を約200万円(加給年金を除く)、加給年金約40万円受給できる場合、68歳で繰下げ受給すると年金額は次の通りです。

  • 老齢厚生年金=約200万円×(1+0.007×36か月)=約250万円
  • 加給年金=約40万円×1=約40万円

老齢厚生年金は、3年間繰下げることによって約50万円増額しますが、加給年金は増額しないため繰下げのメリットがありません。

加給年金額だけを受給できないため、繰下げ待機中の加給年金は受け取れず損をします。

3.2 老齢基礎年金だけ繰下げする方法も

加給年金の受給期間が短い場合など、繰下げ受給によるメリットが加給年金を受給できないというデメリットを上回ると判断すれば、繰下げ受給も選択肢の1つです。

しかし、受給期間が長い場合、デメリットのほうが大きくなり繰下げ受給しないほうがいいケースもあります。

年金額を増やすために繰下げ受給を強く希望する場合、老齢基礎年金だけ繰下げ受給し老齢厚生年金だけ65歳から受給するという方法がおすすめです。

老齢基礎年金の繰下げ受給で年金を増額し、加給年金は全額受け取れるからです。

4. まとめにかえて

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入した人に要件を満たす配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に加算される年金です。

対象となる配偶者がいる場合、本人が65歳から配偶者が65歳になるまで受給でき、2024年の受給額は約40万円と高額です。

ただし、加給年金は、繰下げ受給による増額の対象にならないため注意しましょう。

加給年金が受給できずに損をすることがないように、年金の基礎知識を身につけるとともに、年金事務所などで相談することをおすすめします。

参考資料

西岡 秀泰