1、2棟目に続いて融資を受ける方法はある?
物件を1-2棟買われた方で、「次の物件を買いたいけれど融資がつかない・・・。」という状況に悩まれている方は多いのではないでしょうか?
1-2棟目以降融資が下りない方というのは、バランスシート(貸借対照表)で債務超過の状態となっていることが理由として挙げられます。
たとえば、簿価が減るスピードに対して、キャッシュフローが追いついていない。フルローンなどで借入金の残高が多いのに対して、資産の減りの方が早い。こういった状況ですと債務超過の状態となっている可能性が高いです。
銀行としても債務超過状態の法人に融資は出せないということは、以前お話しをしたかと思います。でも、書籍やインターネットなどで物件を何十棟と保有している、いわゆる「メガ大家」さんを見たことがありますよね。
こういう方は次々キャッシュで買っていける資産家の大金持ちなのでしょうか。
いえいえ、たいていの「メガ大家」さんはキャッシュがあるわけではなく、「一物件一法人」と呼ばれる手法で所有物件を増やしているのです。
「一物件一法人」とは?
「一物件一法人」、不動産投資に興味のある方は聞いたことがある言葉でしょう。数年前から流行っている、俗にいう事業拡大のための「スキーム」です。
簡単に説明すると、今の法人(状態・属性)では2~3棟目を買うための融資が下りないし時間もかかる・・・。ならば物件を買う際に新しい法人を立ち上げ、新法人の「1棟目」として、新しい銀行で融資をつけよう!という考え方です。
通常、銀行の融資審査の時に、自分の資産・負債を明らかにする必要があります。しかし、すでに法人で物件を持っていたとしても、個人と法人は別人格のため、個人には資産・負債がない状態です(連帯保証人にはなりますが、信用情報には乗らないことが多いです)。
この状態を逆手にとり、他の法人を隠し物件を購入するたびに新法人を立ち上げ、別々の銀行に融資をしてもらう、というのを繰り返すことによって、短期間で爆発的に物件を取得するというのがいわゆる「一物件一法人(一銀行)」スキームです。
「一物件一法人」のメリット・デメリット
この「一物件一法人」のメリットはただ一つ、「時間の削減」です。
1つの法人で物件を増やすとしても、法人の成績や銀行の融資姿勢等ですぐに何棟も購入できないのに対し、このスキームで数年で何棟も購入されている「メガ大家」さんがいる通り、事業拡大のスピードはとても速いです。
もちろん、有限である時間はお金にも代えがたい大切なもので、それを削減できるのは大いに魅力的なのですが、この「一物件一法人」スキームはデメリットの方が大きいです。
銀行は何の実績もない新規法人に将来性を感じて融資しているのではなく、あくまでその法人の代表である個人の属性を担保に融資をします。
他の法人を隠され、何の債務もないという前提で融資をしたところ、実は他法人を持っており、それぞれ多額の借入があったとなると、銀行からすると嘘をつかれた!裏切られた!となります。
個人の属性に比して「一物件一法人」によって積み上がった多額の借入や債務超過の状態は通常あり得ないことですし、銀行の回収不能リスクも非常に高くなるからです。
さらに、実質的に個人の属性によって借入をしている法人の負債を隠すということは、堅く言うと銀行への「信義則違反」となり、取引停止や、即時に一括返済を求められる可能性もあるのです。
それに、この「一物件一法人」スキームですと、別の法人を表に出せず、法人間のつながりが分からないようにしないといけません。すると、個人や他法人へお金を移せず、いつまでも個人のお金にすることができないのです。
優良法人を育てて計画的に不動産事業を拡大しよう!
ここ数年の不動産投資の流行で「一物件一法人」をスキームと呼び、サラリーマン投資家の間でリスクなどを認識せず使う方が多くなっています。不動産業者も物件を売りたいがために、この「スキーム」のリスクを分からずに薦めていることが多いです。
ただし、この「スキーム」は前述の通り、銀行に対して嘘をつく「ブラックな方法」です。
一物件一法人(一銀行)で法人や銀行を使い捨てにするのではなく、時間は掛かりますが、一つの法人を優良法人として育てていくことが成功への近道なのです。
よくある「スキーム」なんだと誰かに教えられ、よくよく精査せず使い、後から困るのはご自身です。業者や他人の薦めるままに任せるのではなく、ご自分で調べてリスクを理解し行動するべきです。
自分の目指すゴールを明確に定め、逆算し行動していけば、不動産投資は負ける投資ではなくなるのです。投資家の皆さんに知識と考える力を持っていただければ、世の中の悪徳業者は減り皆さんも利益を得ることができると確信しています。
そうした基本的な不動産事業の知識と市況をお伝えするオンラインセミナー、「首都圏不動産投資」実践会を行っています。ご興味お持ちの方は、ご覧いただければと思います。
以上、村上俊介でした。