今回の「かぼちゃの馬車」問題が表立って明るみになったのは、2017年晩秋以降だったように思われます。スルガ銀行の株価を見ると、年が明けた2018年から下落基調が鮮明となり、直近安値(1,200円、4月19日)は年初高値(2,569円、1月10日)の半値以下に暴落しました。
株価が3カ月間で半値以下というのは尋常ではありません。今回の一連の問題による何らかの重い行政処分を織り込み始めたと考えられますが、十分に織り込んだかどうか予断を許さない状況です。なお、4月23日の終値は1,334円でした。
地方銀行が置かれた厳しい収益環境が背景に
さらに、これはスルガ銀行に限った問題ではない可能性もあります。現在、地方銀行の収益環境は、かつてない厳しさとなっています。あのメガバンクですら大リストラ実施を余儀なくされているのですから、人口減少の加速や地域経済活動の低下による影響が大きい地方銀行が、さらに苦しい収益環境であることは当然と言えましょう(注3)。
注3)2017年10月に金融庁が地方銀行の収益減少のスピードが予想以上に速まっているとの報告書を発表済み。
実際、スルガ銀行以外の地方銀行株も軒並み低迷を余儀なくされています。
その結果、地銀の合併や経営統合が相次いでいるのはご承知の通りですが、一方で、従来の柱だった企業への貸出業務に代わる新たな収益源も求められています。今回問題となった不動産投資への融資拡大、とりわけ、個人向け融資の拡大がその取り組みの1つだったことは容易に想像できます。
「かぼちゃの馬車」問題は“氷山の一角”なのか?
今回明るみなったスルガ銀行による一連の不動産融資の問題が、“氷山の一角”なのか否か、今後の調査進展が待たれるところです。ただ、スマートデイズ社が破産手続きに向かうことで、その実態が明らかになるのはそう遠くはないと思われます。
葛西 裕一