3. 【20〜60歳代】各年代の平均貯蓄額はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、20〜60歳代「二人以上世帯・単身世帯」それぞれの平均貯蓄額を見ていきましょう。
3.1 【二人以上世帯】20~60歳代の貯蓄額の平均値と中央値
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、20〜60歳代二人以上世帯の平均貯蓄額は下記のとおりです。
- 【20歳代】平均値:249万円・中央値:30万円
- 【30歳代】平均値:601万円・中央値:150万円
- 【40歳代】平均値:889万円・中央値:220万円
- 【50歳代】平均値:1147万円・中央値:300万円
- 【60歳代】平均値:2026万円・中央値:700万円
平均値は極端に数字が大きい人がいた場合、平均値が偏る傾向にあるため、「より実態に近い貯蓄額」を知りたい場合は中央値を参考にすることをおすすめします。
中央値をみると、年代別に平均貯蓄額が増加傾向となっていますが、老後生活を目前に控えた60歳代でも1000万円に到達していません。
では、単身世帯の場合はどうでしょうか。
3.2 【単身世帯】20~60歳代の貯蓄額の平均値と中央値
次に、単身世帯の平均貯蓄額を見ていきましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世帯の20〜60歳代の平均貯蓄額は下記のとおりです。
- 【20歳代】平均値:121万円・中央値:9万円
- 【30歳代】平均値:594万円・中央値:100万円
- 【40歳代】平均値:559万円・中央値:47万円
- 【50歳代】平均値:1391万円・中央値:80万円
- 【60歳代】平均値:1468万円・中央値:210万円
二人以上世帯と同様に、単身世帯においても年代が上がるにつれて中央値が増加していますが、60歳代の中央値は「210万円」となっています。
さらに、他の年代でもほとんど中央値が100万円未満となっており、老後に向けた資産形成が十分にできていない現状がみてとれます。
4. 70歳代でも貯蓄ゼロが2割。貯蓄2000万円以上は?
前章では、20〜60歳代の平均貯蓄額を見ていきましたが、単身世帯・二人以上世帯どちらにおいても、老後に向けた貯蓄が十分にできていないことがわかりました。
「貯蓄がなくても定年時の退職金で何とかなる」と思っている方もいるかもしれません。
では、定年退職を迎え、老後生活を送っている年代である70歳代で、貯蓄2000万円を達成している割合はどのくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代で貯蓄2000万円以上を達成している人の割合は全体の約2割強となりました。
70歳代の単身世帯・二人以上世帯ともに、貯蓄2000万円以上の割合は2割程度である一方、貯蓄ゼロとなる「金融資産非保有」の割合も全体の2割を占めています。
このことから、現代においては「老後資産が十分な人」と「老後資産がほとんどない人」で二極化傾向にあるとうかがえます。
5. 「100%年金だけで生活している人」は44%…老後の備えをしておこう
本記事では、年代別における平均貯蓄額について紹介していきました。
老後の不安から資産形成に関心をもつ人が多い一方で、現状は老後までに十分な資産形成ができている人はごく一部となっています。
「老後は年金で生活するから問題ない」と考えている方もいるかもしれませんが、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、100%年金だけで生活している人は全体の44%となっています。
半数以上は年金だけでは生活できていないのが現状となっているため、今のうちから年金だけに頼らない資産形成をしておくことが大切になるとうかがえます。
参考資料
- 株式会社ブレイク・フィールド社「日本での資産形成意識は低い!?資産形成の関心度「関心がない」が3割超、日銀マイナス金利政策の解除「特に気にしていない」が6割超、「お金」への意識・関心度が浮き彫りに」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
和田 直子