先日、「Reduce GO」というアプリがリリースされ、注目を集めています。このサービスは、「月額1980円で、1日2食まで飲食店の余剰食品をテイクアウトできる」というものです。
このアプリは、「フードロス」の削減を目的としたものです。近年しばしば耳にするようになりましたが、「フードロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことを指します。その実態はどのようになっているのでしょうか。
飲食バイト経験者の82%「食べ物を捨てたことがある」
家庭からと食品関連事業者からのフードロスは年間約621万トンにものぼります。今年の2月には、節分の恵方巻きが大量に廃棄される様子がTwitterなどで大きな話題となりました。また、ある調査では、飲食店バイト経験者のうち82%が「仕事で食べ物を捨てたことがある」としています。
そうした人々は、「はじめはもったいないと思っていたが、次第になんとも思わなくなった」と言います。「もったいない」という感覚が麻痺してしまうほど多くの食品が捨てられているということなのでしょう。
フードロスの原因は実にさまざまで、先のアプリが対象とする「外食産業」におけるフードロスでは、「注文・売上予測の難しさ」や「ドタキャン」などといった要因が複雑に絡み合っています。その他にも、小売業においては、「製造から賞味期限までの期間を3分割し、2/3の期間を過ぎた商品は廃棄する」という習慣があり、これもフードロスにつながっているといわれます。
真の原因はわれわれの意識?
しかし、フードロスが生じる原因のひとつに、われわれが飲食店や小売業に対して無意識のうちに過剰なサービスを求めていることも挙げられます。「メニューに載っているものは提供できて当たり前」「売り切れメニューがある店はダメな店」なんて思っていたりしませんか? そうした要求ゆえに、飲食店や小売業は「売れ残り」よりも「品切れ」を恐れ、ひいてはそれが店のマイナスイメージにつながることを恐れています。
こうした品切れに寛容でない雰囲気が蔓延していては、いくらマッチングサービスなどで余剰食品を消費したとしても、あまり意味がありません。改善すべきは流通の仕組みではなく、「われわれがどれほどのサービスを飲食店や小売業に求めるか」という点なのかもしれません。
一人ひとりができることは?
実は、冒頭に書いた年間のフードロス621万トンのうち、家庭からのフードロスは282万トンにもなります。それに対して、先の「Reduce GO」が対象とする外食産業のフードロスは120万トン、コンビニなど食品小売業におけるロスは60万トンと推計されます。こういった数字を見ると、われわれが家庭から出しているフードロスのほうが断然多いことがわかります。
「消費期限」と「賞味期限」の違いを理解する、食品を買い過ぎないなど、フードロス削減のために家庭でできることは多く、また、簡単なことばかりです。ものを大切にする精神が現れた「もったいない」という言葉は、世界で一躍話題となり、多くの国で「もったいない」が通じるようになりました。そうした文化や精神を持つ国に住む者として、今こそ家庭のフードロスを見直すべきなのかもしれません。
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