つまり、仕事は自分で考えて創り出せということでしょうか。
「そうなんです(笑)。これは言い訳じみているので笑い飛ばして聞いてほしいのですが、社会人3年目の春にこの状況はかなり厳しかったです。日本の大手金融機関でわずか数年過ごしただけで甘えがあったんですね」
「さんざん悩んだ挙句、自分なりの考えをもとに質問にいくと、外国人の上司や同僚は非常に丁寧に答えてくれました。その時は、外資系といっても優しいし、正直懐が深いなと思いましたね。デキる人は意地悪をしなかったです。逆に日本人の先輩の中にはそうではない人がいたのが残念です。日本で経験した異文化体験ですね」
その後、その職場で仕事を続けられたのでしょうか。
「日系金融機関をやめる前、先ほど触れた先輩に『お前なんか失敗しちまえ』と、笑いながら、でも目は本気だったような気がしますが、言われたのが妙に心に残っていたので頑張りました。そうしたこともあって、その金融機関に10年近く在籍しました」
「外資系金融機関はある程度同じかもしれませんが、転職してきた人でもうまくいかないと大体2、3年で辞めていきます。ビジネススクールを卒業した人も同じです。それを考えると長くいたほうだと思います」
給与はどうだったのでしょうか。
「年齢に関係なく、ポジションで給与が決まります。ポジションが上がるごとに給与は上がっていきました」
すぐに会社を辞めて後悔していることは何か
では、最初に勤めた会社を3年で辞めてしまったことを後悔しているのでしょうか。
「唯一後悔しているのは、同期とのつながりでしょうか。やはり3年で辞めてしまうと同期とのつながりは薄れてしまいます。優秀な同期もたくさんいて刺激的だったので、そこだけは残念です」
「ただ不思議なことに、最近同期が独立したりすることも多いのですが、それに対しては”ようこそ!”という感じです。日本企業に新卒で入社する醍醐味はやはり同期のネットワークではないかと今でも感じています。外資系金融機関は孤独でしたから」
皆でお昼を食べに行くのが嫌だったのではないですか。
「外資系金融機関では、仲のいい同僚と時間が合えばランチをすることはありましたが、普段は皆忙しく、ほとんどそういうシーンがないので、1人でデスクでランチをとることが多かったです。ない物ねだりで本当に恥ずかしいですが、それはそれで寂しいものですよ」
LIMO編集部