J.フロントリテイリング、17年度は連結営業利益が昨対比18.7%増 21年中計に向け投資加速

2018年4月11日に行われた、J.フロント リテイリング株式会社2018年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:J.フロント リテイリング株式会社 代表執行役社長 山本 良一 氏

2017年度 連結業績(IFRS)

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山本良一氏(以下、山本):おはようございます。本日はご多忙の中ご出席いただき誠にありがとうございます。

本日は最初に2017年度の業績、そして2018年度業績予想、続いて2018年度の環境認識と具体的な取り組みについてご説明させていただきます。

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当社は、2017年度から国際会計基準IFRSを適用いたしております。そのため2017年度実績の対前年比較につきましては、2016年度実績をIFRSベースに置き換えた数値との比較によって算出いたしております。

それではまず、2017年度の業績についてです。

J.フロント リテイリングの連結売上収益は4,699億円。対前年同期比較で3.8パーセントの増収となりました。

連結営業利益は対前年18.7パーセント増の495億円。

親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年5.3パーセント増の284億円となりました。

また10月の予想数値との比較では、連結営業利益は5億円上回ることができました。

なお、これまでの当社業績は他社との比較可能性を考慮し、2016年まで適用しておりました日本基準の売上概念に近い総額売上高およびIFRSの営業利益から、その他営業収益とその他営業費用などの影響を除いた事業利益を、独自の参考指標として合わせて公表いたしております。

総額売上高は対前年0.4パーセント増の1兆1,389億円。

事業利益は対前年4.3パーセント増の468億円となりました。

また10月の予想数値との比較では、総額売上高は30億円下回りましたが、事業利益は3億円上回ることができました。

期末配当につきましては、期初予定から1株当たり3円増配の18円の普通配当およびJ.フロントリテイリング設立10周年を記念した1株当たり1円の記念配当と合わせ19円とさせていただきました。中間配当16円と合わせた年間配当につきましては、1株当たり35円となり、普通配当は前年に比べ5円の増配かつ7年連続の増配となります。

そしてもっとも重視する連結ROEは7.5パーセントとなりました。

2017年度 セグメント情報(IFRS)①

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続きまして、セグメント業績についてです。

百貨店事業は訪日外国人観光客によるインバウンド消費が下期に一段と加速し、また国内富裕層の動きも年度を通じて堅調に推移いたしました。一方、郊外店や地方店は、厳しさが継続いたしました。また資産効率向上の観点から大丸松坂屋百貨店の保有不動産を売却いたしました。この結果、売上収益は前年比較で2.3パーセントの増収、営業利益は20.0パーセントの大幅増益、事業利益でも9.1パーセントの増益となりました。

パルコ事業は昨年(2017年)11月4日、上野フロンティアタワーの核テナントとして開業したパルコの新業態「パルコヤ」が、狙い通り従来のパルコよりもやや大人向けに設定したお客さまの支持を多く集め、好調に推移いたしました。一方、建て替えの為に一昨年8月に一時的に営業を終了した渋谷パルコの影響が上期まで継続した他、千葉パルコの閉鎖影響や「ヌーヴ・エイ」の苦戦などもありました。トータルでは、前年比較で2.3パーセントの減収、9.7パーセントの減益となりました。

不動産事業は昨年4月に開業した「GINZA SIX」および、(2017年)11月に開業した上野フロンティアタワーの嵩上げ効果が大きく、前年比較で168.3パーセント増の大幅増収、37億円の大幅増益となりました。

クレジット事業は、外部加盟店手数料の増加などにより前年比較で3.3パーセントの増収ですが、セキュリティ対策費用の増加影響により、4.0パーセントの減益となりました。

その他につきましては、大丸興業が好調に推移したことなどにより、前年比較では、2.8パーセントの増収。さらにJFRオンラインやJFRプラザなど、不採算事業からの撤退効果なども加わったことから、59.1パーセントの大幅増益となりました。

2017年度 セグメント情報(IFRS)②

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なお、その他に含まれておりました通販事業を営む連結子会社フォーレストの全株式を昨年8月末を持って譲渡し、事業の入れ替えを行いました。合わせて本年2月には、持分法適用関連会社の株式会社千趣会が今後実施を予定する、同社の自己株式取得に当社が応じることも決定をいたしました。

2017年度 大丸松坂屋百貨店

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大丸松坂屋百貨店では、訪日外国人観光客の増加に対応すべく、インバウンドに強みを持つ基幹店舗において時計売り場の拡張や、店頭でのモバイル決済の対象売り場を拡大しました。さらにSNSを活用した店頭プロモーション強化など奏功いたしたことにより、インバウンド消費が飛躍的に伸長いたしました。

大丸松坂屋百貨店の免税売上は、対前年62.8パーセント増の479億円と、爆買いと言われた2015年度の売上の1.4倍になり、いよいよ年間500億円を超えるところを目指せるところまで成長いたしました。

昨年5月からプラスに転じた客単価は、年間で対前年8.1パーセントの増。さらには、客数は対前年50.6パーセントの大幅増となりました。

商品別の内訳では、化粧品を中心とする消耗品が前年実績の2倍となり、一般品に迫る規模にまで拡大いたしました。

2017年度 大丸松坂屋百貨店①

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また株価水準の安定を背景とした国内富裕層の消費の活発化に対応すべく、希少性のある品揃えや、魅力度の高い体験価値を盛り込んだ催事の強化や、外商の新規顧客開拓による顧客基盤の充実が功を奏し、当社外商の売上を示す基幹店の掛売上は対前年1.5パーセント増となりました。

外商顧客の新規開拓への取り組みは、新たに1万3,250口座を獲得することができました。

2017年度 大丸松坂屋百貨店②

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店舗別ではインバウンドの集客力で他を圧倒する心斎橋店が、対前年14.0パーセント増と14ヶ月連続で大幅増となった他、戦略的な顧客開拓による富裕層や近隣で増加するオフィスワーカーを的確に取り込んだ東京店が18ヶ月連続、また札幌店でも15ヶ月連続増収となるなど、基幹6店舗が前年を上回るとともに、既存店舗合計で12ヶ月連続の増収となりました。

2017年度 大丸松坂屋百貨店③

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商品別では国内・インバウンドとも需要が旺盛な化粧品が対前年24.3パーセント増となった他、ラグジュアリーブランドが10.2パーセント増、宝飾品が8.1パーセント増となるなど、高額品も引き続き好調に推移いたしました。

課題のボリューム婦人服につきましては、第3四半期では気温の低下の影響もあり、冬物衣料が活発な動きを見せておりましたが、第4四半期では逆に冬の寒さが長引いたことにより、春物衣料の動きが不調となるなど、一進一退の状況の中で、依然として構造的な課題は継続していると見ております。

2017年度 大丸松坂屋百貨店(IFRS)①

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一方、経費につきましては、GINZA SIXと上野フロンティアタワー(FT)の新規開業に伴う広告宣伝費や作業費の増加のほか、設備更新のための修繕費、光熱費、消耗品費の増加はありましたが、業務委託を含めた実質人件費や、賃借料の圧縮など、全社を挙げてさらなる削減に取り組みました。

また、資産効率向上の観点から、保有不動産の売却も実施いたしました。

2017年度 大丸松坂屋百貨店(IFRS)②

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この結果、大丸松坂屋百貨店は、営業利益は282億円、対前年41パーセント増の大幅増益となり、また、参考資料の事業利益は271億円、対前年22.7パーセントの大幅増益となりました。

10月の予想数値との比較では、営業利益は26億円、事業利益は9億円、それぞれ上回ることができました。

2017年度 連結業績(B/S、CF)(IFRS)

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連結財政状態計算書、キャッシュフローにつきましては、ご覧のスライドのとおりでありますが、フリーキャッシュフローは10月予想からさらに好転をし、380億円のプラスとなりました。

2018年度 連結業績予想(IFRS)①

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続きまして、2018年度の業績予想についてご説明いたします。

2018年度の売上収益は、対前年3.2パーセント増の4,850億円、事業利益段階では対前年5.7パーセント増の495億円を予想しておりますが、前年の不動産売却益や、子会社株式売却益計上の反動もあり、連結営業利益は対前年2.1パーセント減の485億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は7.1パーセント増の305億円、連結ROEは7.5パーセントと予想しています。

なお、総額売上高は対前年2.3パーセント増の1兆1,650億円と予想しております。

配当につきましては、年間で1株当たり35円とし、普通配当で前年に比べ2円の増配、かつ8年連続の増配を予定いたしております。

2018年度 セグメント情報予想(IFRS)②

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セグメント別では、百貨店事業は大丸松坂屋百貨店の旗艦店を中心に増収を見込む一方、地方店、郊外店については厳しさが継続することを予想し、対前年3.3パーセントの増収を見込みますが、下期に面前決済等のシステム投資発生によるコスト増などを織り込み、事業利益は2.2パーセントの減益です。また、前年に不動産売却益を計上した反動減の影響も加わり、営業利益は6.6パーセントの減益見通しでございます。

パルコは昨年11月に上野フロンティアタワーで開業した新業態「パルコヤ」がフル稼働するほか、「原宿ゼロゲート」「三宮ゼロゲート」などの新規オープンや、昨年度苦戦したヌーブ・エイ事業の戦略再構築による下期以降の業績改善を織り込み、対前年4.8パーセントの増収です。事業利益では4.5パーセントの増益ですが、前年に計上した引当戻入の反動減などによりまして、営業利益は横ばいとなる見通しでございます。

不動産事業は昨年4月に開業をした「GINZA SIX」、11月に上野に開業をしました「上野フロンティアタワー」がフル稼働で寄与することなどによりまして、対前年で27.4パーセントの大幅増収です。事業利益では26.1パーセントの大幅増益となりますが、前年に計上した不動産売却益の反動減などの影響によりまして、営業利益は20.1パーセントの減益見通しとなります。

また、クレジット金融事業は、対前年7.1パーセントの増収ですが、セキュリティ強化に伴うシステム費用の増加を見込むため、事業利益では1.5パーセントの減益ですが、営業利益は0.3パーセントの増益の見通しでございます。

その他につきましては、フォレスト社の株式譲渡によるマイナス影響などにより、増収幅はほぼ横ばいの0.1パーセントと見ておりますが、前年に苦戦したJ.フロント建装の業績改善を織り込み、事業利益は29.8パーセント増の増益、営業利益は22.2パーセントの増益となる見通しでございます。

2018年度 連結業績予想(B/S、CF)(IFRS)

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連結財政状態計算書、キャッシュフローの予想につきましては、ご覧のスライドのとおりでございます。

中期経営計画1年目の振り返りと課題①

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次に、2018年度の環境認識とおもな取り組みについてご説明いたします。

2017年度は、中期経営計画の初年度として、新たに設けた不動産セグメントが、「GINZA SIX」や「上野フロンティアタワー」など大型プロジェクトの貢献により、当初予想以上の進捗で成長し、当社が目指す非連続な成長に向けた事業ポートフォリオ変革の第一歩として、順調にスタートしたものと考えております。

中期経営計画1年目の振り返りと課題②

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一方、営業力強化策として、ICTへの取り組みや、成長事業として高く位置付けるクレジット金融事業への対応などについては試行錯誤を続けておりますが、残念ながらその進捗においてスピード感の欠如は否めず、目に見える具体的な成果として表れていないのが現状でございます。

これらは喫緊の経営課題として、ギアをチェンジする必要があると考えております。

経営環境認識

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経営を取り巻く環境は、今すさまじいスピードで変化の途上にあるものと認識をいたしております。まさに時代の大転換期と言っても過言ではありません。

AIやロボットの進化により、仕事や業務が自動化され、またIoTによってあらゆるモノがネットにつながるデジタル社会は、この1年で急速に身近なものになってきたように感じております。我々の生活や産業の仕組みを、根本から変えつつあるというわけです。

また、人生100年時代と言われるように、今後長寿命化が一層進展することが見込まれている一方、日本の人口はある調査によれば50年後に9,000万人を割り、100年後には半減するとも言われており、これまでに経験したことのないほどの大きな社会構造の変化が迫りつつあるのが現実であります。

経営環境認識

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これらを含めたさまざまな事業環境の変化は、すなわち企業としての不確実性であります。

こうした不確実性、つまりリスクについては、プラスの側面としての機会と、マイナスの側面としての脅威の両面がありますが、今後はこのリスクへの対応力いかんにより、企業間格差が大きく生じるものと考えております。対応の遅れはマイナスのリスクの拡大に直結することは言うまでもありません。

138項目のリスク抽出

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そのため、当社は、事業環境の変化を当社に関わるリスクとしてとらえ直し、まず138項目のリスクを抽出いたしました。

2018年度に重視する6つのリスク

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その中で、とくに重要と考える企業リスクについて、リスクマネジメント委員会および役員合宿で徹底的に論議をし、スライドにありますとおり、最終的には15項目を特定をいたしました。今年度2018年度は、ここからさらに6つをとくに重要なリスク項目と設定をし、経営方針に組み入れることにより、具体的な実行計画を推進していくことといたしました。

これらの取り組みを通じ、「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」というグループビジョンの実現に向け、小売業の枠を超えたマルチセールスリテイラーとして、非連続な成長を通じた事業ポートフォリオのさらなる変革を図ってまいります。

成長戦略への取り組み

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これらを踏まえながら、2018年度として取り組むべき成長戦略、財務戦略、そして当社が考えるESGについてご説明申し上げます。

まず、成長戦略につきましては、本日はマルチサービスリテイラー戦略、アーバンドミナント戦略、ICT戦略の3つにフォーカスをして説明させていただきたいと思います。

成長戦略1-マルチサービスリテイラー戦略①

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1つ目は、小売業の枠を超えたマルチサービスリテイラーとしての発展に向けた取り組みについてです。

当社グループは大丸松坂屋およびパルコを中心に、優良な顧客資産を保有していることが大きな強みであります。しかしながら、現在こうしたお客さまとの関わりを持つことができているのは、リアル店舗を中心としたリテールでの接点がほとんどでございます。また、それはお客さまの人生の中において、ほんの一部の時間に過ぎません。

成長戦略1-マルチサービスリテイラー戦略②

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そのため、当社は「ライフタイム・サービスHUB」という新たな顧客基盤の構築に取り組み、お客さまとの生涯にわたるエンゲージメントを強めていくための仕組み作りを進めてまいりたいと考えております。

「ライフタイム・サービスHUB」のイメージは、こちらのスライドのとおりでございますが、いわゆる人生100年時代を念頭に置きつつ、誕生から一生涯にわたるさまざまなシーンや節目において、お客さまとこれまで以上の接点を持ち、長く深く関係性を作ることにより、お客さまの不満や不安の解消に向けた新しい商品やサービスの提供を進め、事業領域の拡大を図ってまいります。

一例で申し上げますと、先般発表いたしました新会社、JFRこどもみらい株式会社の設立による幼児保育事業への参入も、こうした考え方に基づく取り組みの一環であります。

つまり、「ライフタイム・サービスHUB」構想における人生の始まりとしての幼児期を接点とし、高質かつ高度な幼児教育サービスの提供を第一義としながらも、保護者の方々とICTを活用した日常的なコミュニケーションを重ねることにより、新たな情報の蓄積や価値提供の機会を創造していきたいと考えております。

また、当社の強みである富裕層の外商顧客につきましては、ICTも活用しながら、お客さまのライフプランのさまざまなシーンにおいて、特別感のある希少なサービス・商品を通じて、お客さまの期待をさらに超える価値提供に取り組んでまいります。

成長戦略1-マルチサービスリテイラー戦略③

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また、クレジット金融事業・人材サービス事業・建装事業の重点3事業における事業領域の拡大についても、今年度からスピードを上げて本格化していきたいと考えております。

そのため、クレジット金融事業のJFRカードと人材サービス事業のディンプル、建装事業のJフロント建装の経営トップを一新するとともに、それぞれのトップに当社J.フロント リテイリングの執行役を兼務させることとし、具体的な早期の成果創出に向けた執行体制の強化を図ってまいりました。

とくに、成長が期待されるクレジット、金融事業、JFRカードの経営トップには、外部から同業界に高い知見を有する人材を招聘いたしました。これにより、既存カード事業の成長はもとより、決算手段の多様化に対応するため、ICTと連携した金融領域の方向性を明確にし、さまざまなトライアルを通じて具体的な事業モデル策定に取り組んでまいります。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略①

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2つ目は、アーバンドミナント戦略です。

中期経営計画の初年度である昨年度は、「GINZA SIX」や「上野フロンティアタワー」など大型開発案件を中心にアーバンドミナント戦略を進めてまいりました。今年度は2019年秋の開業を予定する「大丸心斎橋店本館」と「新生・渋谷パルコ」の準備を加速させることと合わせ、基幹店舗の周辺地区を中心に不動産賃貸面積の着実な拡大を図ってまいります。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略②

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まず、「大丸心斎橋店本館」は、2019年秋のオープンを目指し、現在建替を進めておりますが、新たな本館では品揃え・サービス・環境すべてにおいて、これまでの百貨店では見たこともない百貨店の未来の方向性を示すとともに、買い取り、消化仕入れ、不動産賃貸という3つの取引形態の取引形態の最適バランスを図ることにより、革新的かつ収益性の高い新百貨店モデルを具現化したいと考えております。投資総額は、380億円を予定いたしております。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略③

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また、本館建替が完成した後、現在百貨店を展開している北館につきましては、不動産賃貸型にビジネスモデルを大きく転換をいたします。その中核テナントとしてはパルコを導入し、上野フロンティアタワーの共同開発で得られた成果、あるいはノウハウを活かしつつ、さらなるグループシナジーの創出拡大を図ってまいります。

その上で、これらの新しい本館と北館の2つを接続することにより、合わせて8万平米を超えるハイブリッドな商業施設を創造し、幅広い顧客を広域から動員することにより、地域に新たな賑わいをもたらしたいと考えております。

既存百貨店の構造的課題への対応

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なお、百貨店の構造的課題である、既存店における婦人服が過剰な売場構成への対応につきましては、この中期経営計画中に30パーセントの圧縮を考えております。成長や集客力のあるカテゴリー、コンテンツの拡大を図っていきたいと考えております。

今年度は、大丸梅田店・札幌店、松坂屋名古屋店などを中心に、2016年度との比較においておよそ10パーセント前後の圧縮を図る予定にいたしており、捻出されたスペースにおいて、新たな編集売場の展開やコト消費・体験型消費を意識したブランドの導入など、店舗ごとのマーケット変化に対応したMD変更を順次推進してまいります。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略④

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次に、新生渋谷パルコでは、これまでの商業施設にはない新たな取り組みを結集させたいと考えています。

店舗作りの方向性といたしましては、接客サービスや決済手段など、最新のテクノロジーを活用した新たなお買い物体験や、成熟する都市生活者のライフスタイル変化への新たなアイディア、さらには新たに生まれ変わるパルコ劇場を活用した学びや体験など、パルコ独自のリアル店舗ならではの魅力を提供する、次世代商業空間の創造を目指してまいります。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略⑤

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ここで、本プロジェクトのスキームをおさらいをさせていただきますが、本計画は2015年、都市再生特別地区の都市計画として決定をされ、都市再生への貢献に対する評価に基づき、容積率の増加が認められました。

再開発事業の収支は、保留床の処分金によって、計画費や土地整備費、建築工事費、営業補償費などが賄われます。保留床のオフィス部分はすでに売却が完了しており、店舗部分はパルコが取得することになっております。本プロジェクトにおけるパルコの投資額は、商業部分の保留床取得と内装投資など、214億円を予定いたしております。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略⑥

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さらに、グループといたしましては、これらの大型開発プロジェクトだけではなく、今後成長が期待できる都心部において、積極的に不動産賃貸面積の拡大を図ってまいりたいと考えています。

具体的には、本年度の新規商業施設として、大丸松坂屋の不動産事業部において、京都・南禅寺地区の「ブルーボトルコーヒー」など4物件、「京都ZERO GATE」、「原宿ZERO GATE」など、パルコのZERO GATE事業において3物件、合計7物件の開業を予定いたしています。さらに、本年度に百貨店・基幹店舗周辺において、5物件程度の計画推進も検討いたしています。

成長戦略2-アーバンドミナント戦略⑦

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併せて、心斎橋、京都・烏丸、神戸・元町、名古屋・堺、上野・御徒町の5つの重点地区を対象に、周辺開発の推進プランや、地元と連携した来街動機の創出など、それぞれのエリア戦略の明確化に取り組んでまいります。一例ですが、上野・御徒町エリアでの取り組みは、「シタマチ・フロント」というブランドとして育成をしていく計画であります。

公共スペースの「おかちまちパンダ広場」を起点に、地元の商店会や台東区と協力したエリアマネジメントの推進を通じて、ブランドの浸透を図りながら、地域の活性化を図ってまいります。

成長戦略3-IoT時代に向けたICT戦略①

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次に、IoT時代に向けたICT戦略について申し上げます。

百貨店を中心としたICTへの取り組みについては、新しい顧客体験の提供・営業施策の高度化という観点において、本格的なデジタル戦略を、外部の知見を取り入れながら具現化をしてまいります。

具体的には、本年秋ごろにリリースを予定しています、決済機能を備えたコミュニケーション型モバイルアプリの導入を始め、デジタルツールを活用した外商活動の進化や、インバウンド顧客に対応したモバイル決済可能な売場の対象拡大など、あらゆる販売プロセス業務の見直しに取り組み、ICT時代にキャッチアップした百貨店のオペレーション改革を図ってまいります。

なお、百貨店ECにつきましては、百貨店店頭を意識したこれまでの「フルカテゴリー対応」の前提とした取り組みを見直し、まずは百貨店の強みが発揮できる、ギフトジャンル・ビューティー・フーズなどに対象を絞ることにより、具体的な成果につなげていきたいと考えています。

成長戦略3-IoT時代に向けたICT戦略②

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また、働き方改革に向けたRPA、Robotic Process Automationの導入の進捗につきましては、当初および大丸松坂屋百貨店、JFRサービスの3社において、経費の精算や受発注業務のシステム入力、また企画書に必要なインプット情報の収集など、定型的な業務を対象として抽出し、RPA化に取り組んでいます。そのうち、昨年度は48業務が稼働し、マンアワーでおよそ4,400時間を削減いたしました。

本年度は60業務を加えた対象業務が、RPAとして可動する予定であります。およそ5,400時間の削減を見込んでいます。さらに、今中期経営計画の5ヶ年では、グループ全体で300業務規模まで拡大をし、マンアワーでおよそ2万8,000時間の事業業務自動化を通じた生産性の向上に取り組んでいきたいと考えています。

そして、この取り組みを生かしながら、業務のペーパーレス化を推進するとともに、システムのセキュリティを担保したBYOD(Bring Your Own Device)の実現や、テレワークの環境整備などにも取り組み、本格的な働き方改革につなげていきたいと考えています。

財務戦略ー2021年度 経営数値目標

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次に、財務戦略についてご説明いたします。

これまで申し上げたような成長戦略を着実に推進することにより、中期計画最終年度の2021年度は、IFRSベースで連結営業利益560億円、対2016年度比較では142億円の増益を実現し、ROE8パーセント以上の達成を目指してまいります。

財務戦略ーキャッシュフロー創出と戦略投資

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なお、本中期経営計画期間の5年間においては、営業キャッシュフロー2,600億円以上を稼ぎ出し、1,000億円を既存事業の革新と、事業ポートフォリオの変革に向けた設備投資および成長投資に振り向けてまいります。

財務戦略ー設備投資の年次見通し

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こちらのグラフにありますように、中期5ヶ年における投資のピークは、現在建て替え中の心斎橋店本館と新生・渋谷パルコが稼働する、2019年度になる予定でございますが、今後2020年と2021年度には、それぞれ200億円を超えるフリーキャッシュフローが創出される見込みとなっています。

財務戦略ー株主還元方針

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そして、5年間累計で創出する600億円以上のフリーキャッシュフローにより、株主還元および自己資本の充実を図ってまいります。

株主還元の方針につきましては、配当性向30パーセント以上を基本としつつ、財務状況を見ながら、自己株買いも適宜検討をしてまいります。このように、戦略投資の実施と株主還元の充実、そして自己資本の充実のバランスを踏まえた資本政策を推進することにより、ROE8パーセントを継続的に達成できる、経営体質の実現に取り組んでまいります。

ESG課題への取り組み①

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最後に、ESGへの取り組みについてご説明いたします。

ご承知のとおり、世界最大の年金基金、GPIFは2015年に国連責任投資原則に署名をし、さらに昨年には3つのESG指標を採用することを発表いたしました。つまり、企業の持続性や成長性を評価するために、財務情報だけでは真の姿がとらえられず、非財務情報・ESG情報が一層重要な役割を果たすということが示されたことになります。

これは、資本市場における大きな流れの変化であり、社会の公器とされる、企業側に向けられた強いメッセージであると認識いたしています。

ESG課題への取り組み②

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当社はこれまで、ESGのG、すなわちガバナンス改革には、先んじて意欲的に取り組んでまいりましたが、こうした資本市場の動向も踏まえ、3月から専門部署「ESG推進部」を設置し、今後はEとSの部分についても、質・量ともにその取り組みの情報開示を強化していきたいと考えています。

ESG課題への取り組み③

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そのため、当社は現在マテリアリティ、つまり、当社として取り組むべき重要課題の特定に取り組んでいます。

すでにステークホルダーのみなさまにヒアリングをかけ、まず、ステークホルダーから見た重要課題の抽出を済ませていますが、次のステップではその結果を踏まえ、自社が取り組むべき重要課題の優先順位について、経営会議、さらには取締役会において、論議を行ってまいります。

こうした当社としてのマテリアリティを特定し、開示することにより、社会課題と事業活動との関連性をよりクリアにし、CSV、すなわち共通価値創造の考え方をもとにした取り組みを進めてまいりたいと考えています。また、マテリアリティの特定が完了した後、機関投資家のみなさまを対象に、当社が考えるESG説明会を開催させていただく予定にいたしていいます。

社是の愚直な実践=CSV(共通価値創造)

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ご承知かもしれませんが、当社グループは「先義後利」を社是といたしています。

これは、義を先にして利を後にする者は栄えるという、中国の荀子の言葉から引用されたものですが、言い換えますと、ステークホルダーのみなさまにとっての価値、つまり、社会にとっての価値とは何かをまず考え抜き、その価値創造に向けて取り組むことが、ひいては企業にとっての経済価値の創造につながるということを表しています。

すなわちCSV、共通価値の創造とは、こうした社是を愚直に実践していくことに他ならないと考えています。当社は今般の中期経営計画において、現状延長線上ではない非連続の成長に向け、経営のかじを大きく切りました。

その過程においては、時間を経ても変わらない価値観は大切にしつつ、時代の変化・経営環境の変化を的確に汲み取り、プラスのリスクとマイナスのリスクの両面をしっかり捉えながら、伝統と革新を融合した、社会にとってはなくてはならない、新たな企業グループへの変貌に挑戦していきたいと考えています。

当社は、小売業の枠を超えたマルチサービスリテイラーとしての発展に向け、社会価値・経済価値を両立しながら、事業ポートフォリオの抜本的な変革を通じ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

ご清聴、どうもありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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