2. 厚生年金と国民年金の平均受給額をわかりやすく解説

リタイア世帯にとって、心強い存在になるのが公的年金。2024年度は、2.7%の増額が決まりました。

ここからは厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、平均的な厚生年金と国民年金の受給額を見ていきます。

2.1 厚生年金の平均月額

厚生年金の受給額

厚生年金の受給額グラフ

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金部分を含む

2.2 国民年金の平均月額

続いて国民年金の受給額を確認しましょう。

国民年金の受給額

国民年金の受給額グラフ

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

 

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
     

国民年金は公的年金の1階部分に該当する年金で、自営業者やフリーランス、専業主婦(夫)などが受給対象になります。

厚生年金の上乗せがない場合、国民年金のみで老後生活するのは難しいでしょう。

次章では親世帯への仕送りの状況を見ていきます。

3. 親に仕送りをしている世帯の平均額は?

親世帯に仕送りしているという家庭も多いと思います。今後、検討しているという方もいるのではないでしょうか。

厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、 親へ仕送りしている世帯の現状は次のとおりです。

  • 総数:104万7000世帯
  • 2万円未満:12万8000世帯
  • 2~4万円:31万3000世帯
  • 4~6万円:21万4000世帯
  • 6~8万円:6万6000世帯
  • 8~10万円:4万2000世帯
  • 10万円以上:19万7000世帯
  • 不詳:8万8000世帯
  • 1世帯当たり平均仕送り額:5万6000円


1世帯当たり平均仕送り額は5万6000円とのことです。

中には10万円以上という世帯も19万7000世帯(全体の18.8%)いるようで、家計から捻出する子世帯もいるようです。

なお同資料によると、高齢者世帯の所得318万3000円のうち、稼働所得は80万3000円、公的年金等は199万9000円、財産所得は17万2000円、仕送りや企業年金等の所得が19万円となっています。

最後に、65歳以上無職の夫婦世帯の平均的な「毎月の赤字額」を確認していきます。

4. 65歳以上無職の夫婦世帯は「毎月の赤字」が4万円近くに

2024年3月に公表されたの総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支は次のとおりです。

4.1 65歳以上「無職世帯」家計の収支

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支

出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」

  • 実収入:24万4580円
  • 消費支出:25万959円
  • 非消費支出:3万1538円
  • 月の収支:▲3万7916円

毎月の恒常的な赤字が約4万円近くとなっているようです。当然ながら、家庭によって支出額は大きく異なるため、それぞれの世帯で収支を予想することが大切です。

もし支出の目安額がシミュレーションしにくい場合は、平均をもとに「我が家の場合」で差し引きすることも有効です。

例えば、平均では食費が月約7万円、食費と光熱・水道費用で合計約10万円かかっています。

年金の見込額はねんきんネットなどで試算してみましょう。

5. まとめにかえて

ここまで、65歳以上世帯の「現状」について見ていきました。

多くの方は老後について不安を感じたのではないでしょうか。今回見てきたものはあくまで現状です。

実際に今働いている世代が老後を迎えたときには、また大きな変化があることでしょう。いい方向に進んでいればいいのですが、難しい可能性もあります。

老後に向けた準備として年金だけを頼りにするのではなく、今からできることを始めていくことが大切です。

今から備えるに越したことはありませんが、まずはできることから一つずつでも始めていけるといいですね。その一歩として、GWに何ができるのか知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

大庭 新太朗