年度が変わると、年金の金額が変わります。

利用できる制度についても、必要に応じて手続きが発生します。必要不可欠なものではありますが、混乱のタネといえますね。

日本に住所に住所があれば、被用者年金(厚生年金)に加入している方を除き、20歳から60歳になるまでは国民年金に加入しなければなりません。20歳を過ぎると、学生であっても国民年金に加入します。

しかし、収入のない、あるいは少ない学生の方は国民年金保険料を払うことができないので「学生納付特例」の申請をすることができます。

こうしたとき疑問になるのが「学生分の年金って払ったほうがよいのか?」という点です。実際に、社会人になってから「国民年金保険料追納のご案内」ハガキが届いて焦ったという声も耳にします。

今回は、学生であった期間に猶予されていた国民年金を追納すべきかについて考えてみましょう。記事後半では、実際の年金追納額の目安についても解説します。

1. 学生時に猶予されていた年金は「追納」で払うことができる

学生時に払っていない国民年金は、後になって払うことができます。

たとえば、4年制の大学に通う4月生まれの方であれば、20歳になってから卒業するまでの2年間が対象となります。

ちなみに、留学をした方や大学に6年間通った方など、長期になる方もいます。

卒業後に就職したタイミングで現行の年金制度に加入し、学生納付特例の承認を受けた期間については、過去10年以内であれば国民年金保険料をさかのぼって納付できます。これを「追納(ついのう)」といいます。

追納することで、将来受け取る年金額を増額できます。学校を卒業後(20歳以後にさらに学校に通っていた方はその学校を卒業後)、日本年金機構から「国民年金保険料追納のご案内」が届きます。

2. 学生分を追納することで将来いくら受け取れるのか

数十年後の将来の年金額は、今の時点ではわからないため、現在(2024年度)の金額で計算します。

通常、国民年金は20歳から60歳になるまでの40年間の満額の老齢基礎年金の金額は年額81万6000円。厚生年金に加入すると、この金額に老齢厚生年金を上乗せしてもらえますが、追納については国民年金(老齢基礎年金)部分に影響します。

今回は、20歳から国民年金に加入し、大学在学中は学生納付特例を利用していたAさんの例で考えてみましょう。

2.1 22歳で大学を卒業し60歳まで厚生年金に加入したAさんの場合

22歳で大学を卒業し60歳まで厚生年金に加入し、その後退職し、65歳から受給できる、ねんきん定期便に記載している金額は、以下の通りです。

  • 老齢基礎年金 77万5200円(456月分納付、国民年金や厚生年金の納付した期間に影響)
  • 老齢厚生年金 120万0000円(給与や賞与、勤務期間に影響)
  • 合計 197万5200円

もし、このAさんが学生時代の国民年金保険料24ヶ月分を追納していると
81万6000円 × 24月 / 480月 = 4万0800円 が増額されて、一生涯もらうことができます。この4万0800円は年額ですが、これを多いと考えるのか、少ないと考えるかは人それぞれです。

追納の案内ハガキを実際に見た人はおわかりかもしれませんが、社会人になったばかりのころに学生時代の分の追納をするには、結構な負担になるかと思います。

次の章から、実際の追納金額について一覧表で詳しくみていきましょう。

3. 【一覧表】上乗せされることがある追納、目安でいくら?

では、追納する金額はいくらでしょうか。2024年度中に追納する金額は、以下の通りです。

なお、こちらは国民年金の保険料であり、毎年度の金額は異なります。

【2024年度】追納上乗せ分を含めた月額保険料の一覧表1/1

【2024年度】追納上乗せ分を含めた月額保険料の一覧表

出所:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」を参考に筆者作成

直近2年分については加算がありませんが、それ以前分に関しては加算があります。

3.1 学生納付特例を利用していたAさん、追納の金額はいくらになりそう?

学生納付特例を利用していた方は「追納」することで、将来の年金を額面上増やすことができます。

Aさんの場合で考えると、
1万6590円 × 12ヶ月 + 1万6520円 × 12ヶ月 = 39万7320円を支払って、一生もらえる年金額を増やすことができます。

将来の金額は変わりますが、この金額で考える単純計算で、約10年間年金を受給することで、元は取れる計算になります。

ただ、自分で運用した方が、効率が良いと考える方もいるでしょう。

ちなみに、追納して払うことができるのはあくまで在学中のもののみ。今回のAさんの場合、2022年度分、2023年度分のみが対象です。

自身の追納対象期間に関しては、公的窓口で確認してみましょう。

4. まとめにかえて

追納については「追納のご案内」「追納をお勧めします」という表現が用いられ、強制ではなく任意となっています

学生の方も奨学金を利用していた方も多く、就職後に奨学金も返還しながら、学生時代の国民年金保険料を納付するのは大変かもしれません。

納付できる方は納付することで将来の年金も増やせますし、納付した年の社会保険料控除を利用できます。さらに、所得税や住民税を減らせる可能性もあります。

無理のない範囲で追納できるようであれば、検討してみてもよいかもしれません。

参考資料

香月 和政