2024年度がはじまり、今年度定年退職をひかえている方もいるでしょう。
老後の柱となる公的年金は、毎年度改定されます。
2024年度の年金額は2.7%増額となりましたが、マクロ経済スライドの調整により、物価高ほどは上がらず実質的に目減りとなりました。
少子高齢化の日本においては今後年金額が下がる可能性も考えられるため、「できれば65歳でリタイアしたいけど、難しいかも…」「仕事を辞めたいけれど辞められない」というご家庭もあるでしょう。
ヒューマンホールディングス株式会社が全国の働く50代男女1000名を対象に行った「仕事に関する意識調査」によれば、「定年以降も働こうと考えている」人は63.4%と半数を超えています(2024年4月19日公表)。
では、実際に65歳以上でリタイアしている世帯のお金事情はどうなっているのでしょうか。貯蓄、年金、生活費と、シニアのお金事情を見ていきます。
【注目記事】次の年金支給日は6月14日(金)年金一覧表「厚生年金と国民年金」60歳~90歳以上の平均年金月額を確認
1. 【65歳以上・無職の夫婦世帯】平均的な貯蓄額はいくらか
仕事を辞めるか、続けるかを考える際、「まとまった貯蓄さえあれば仕事を辞められるのに」と考える方もいるでしょう。
では、65歳以上の方は一般的にどれくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考に、まずは世帯主が65歳以上の貯蓄を見ていきましょう。
まず「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の貯蓄現在高は次のとおりです。
1.1 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額一覧表(平均・中央値)
- 平均:2414万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1677万円
- 100万円未満:7.8%
- 100~200万円未満:3.4%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.5%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~600万円未満:3.5%
- 600~700万円未満:2.8%
- 700~800万円未満:2.6%
- 800~900万円未満:3.4%
- 900~2000万円未満:2.4%
- 1000~1200万円未満:6.1%
- 1200~1400万円未満:4.4%
- 1400~1600万円未満:3.7%
- 1600~1800万円未満:4.2%
- 1800~2000万円未満:3.2%
- 2000~2500万円未満:8.3%
- 2500~3000万円未満:6.3%
- 3000~4000万円未満:10.0%
- 4000万円以上:17.9%
65歳以上の貯蓄は平均2414万円となっており、まとまった貯蓄を保有している印象をうけます。
しかし、より実態に近い中央値をみると1677万円です。一時期老後2000万円が話題となりましたが、安心できる貯蓄を保有している世帯は多数とはいえないでしょう。
分布を見ると貯蓄1000万円未満がおよそ3世帯に1世帯となっています。
では、65歳以上・無職世帯の平均貯蓄額を確認しましょう。
65歳以上で無職世帯の平均は2359万円でした。
ただし、上記はあくまで平均です。
先ほどみたように世帯差が大きいため、中央値はこれよりも低いと考えられるでしょう。