後期高齢者医療とは、原則として75歳以上のすべての人が加入する公的な医療保険制度です。
2024年4月1日、厚生労働省は後期高齢者医療制度の保険料率を公表しました。令和6年度・令和7年度ともに引き上げとなります。
一方で、年金額は物価上昇率ほどに増額しないことが決まり、”実質減額”と言われています。これにより、懐事情が厳しくなる高齢者が増えるかもしれません。
私たちが老後を迎える際には、年金額は減り、後期高齢者医療制度は更に引き上げられているかもしれませんね。
本記事では、公表された後期高齢者医療制度の保険料率を確認します。記事後半では、年金収入が195万円の人の保険料目安をさぐります。都道府県による違いにも注目しましょう。
1. 「後期高齢者医療制度」って何?対象者をわかりやすく解説
日本は国民皆保険となっているため、誰もが何らかの公的な健康保険制度に加入します。現役世代の方も、会社員であれば協会けんぽや健康保険組合、公務員であれば共済組合に加入しているかと思います。
また、自営業者や無職の方などは、自治体が運営する国民健康保険に加入しているでしょう。
これらの公的な健康保険に加入している方も、原則として75歳以上※となれば後期高齢者医療制度に加入することとなります。
※一定の障害があると認定された65歳以上の人も、他の健康保険と比較して任意で加入することができます。
【対象となる障害】
- 身体障害者手帳1級から3級までと4級の一部
- 愛の手帳1,2度
- 障害年金1,2級
- 精神障害者保健福祉手帳1,2級
後期高齢者医療制度の運営は、各都道府県に設置された「後期高齢者医療広域連合」が行っていますが、保険料の徴収や資格の変更手続き等は市町村が行います。
もし不明点があれば、お住いの自治体窓口で相談してみましょう。
2. 後期高齢者医療制度の保険料はいくら?令和6年度に値上げが決定
2024年4月1日、令和6年度の後期高齢者医療制度の保険料率が決定しました。
厚生労働省の発表によると、被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で下記のとおりです。
2.1 令和6度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均
- 被保険者均等割額の年額:5万389円
- 被保険者均等割額の月額:4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額の年額:8万4988円
- 平均保険料額の月額:7082円
昨年度までの平均月額は6575円だったので、7.7%の増加です。さらに、令和7年度の保険料率も決まっています。
2.2 令和7年度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均
- 被保険者均等割額の年額:5万389円
- 被保険者均等割額の月額:4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額の年額:8万6306円
- 平均保険料額の月額:7192円
ただし、上記はあくまでも全国平均です。実際の後期高齢者医療制度の保険料は、下記の2種類の保険料で個別に計算されます。
- 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
- 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料
値上げが決まった後期高齢者医療制度の保険料。一方で、令和6年度の年金額は”実質減額”となっていることが決まっています。