2. 2023年4月からNHK受信料の「割増金」適用が開始

NHK受信料については、通信機器がラジオだけという場合を除いて支払う必要があります。

しかし、NHKが発表した『2022年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について』によれば、2022年度の受信料の未納率は全国で「21.7%」。

【写真1枚目/全2枚】NHK受信料の推計世帯支払率。写真2枚目では「割増金」に対するNHKの説明も

NHK受信料の推計世帯支払率

出所:NHK「2022年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について」

実際のところ、受信料を支払わない人がいるようです。

そのため、2023年4月より放送法でNHK受信料の未納世帯に対する「割増金」の適用が始まりました。

日本放送協会放送受信規約12条(放送受信契約者の義務違反および割増金等)で詳しい内容を確認してみましょう。

『NHKは、放送受信契約者が次の各号の1に該当する不正な手段により放送受信料の支払いを免れたときは、当該放送受信契約者に対し、支払いを免れた放送受信料に加え、その2倍に相当する額である割増金を請求することができる。』
引用:NHK受信料の窓口「日本放送協会放送受信規約」

NHK受信料の未納世帯が、上記の規約の「不正な手段により放送受信料の支払を免れた場合」に該当すると、割増金が請求されることになりました。

不正な手段により放送受信料の支払いを免れるというのは、以下の場合が挙げられます。

  • 受信契約の解約に不正がある
  • 受信料免除に不正がある
  • 受信機設置の翌々月の末日までに受信契約書を提出しなかった

割増金は「通常の受信料+2倍相当の受信料」となり、実質3倍相当の受信料を支払うことになります。

次は、NHKが東京都内の3世帯を相手に、受信契約・受信料および割増金の支払いを求めて起こした民事訴訟とその結果についてご紹介します。

3. NHKが受信料および割増金の支払いを求めて起こした民事訴訟とは

NHKは、正当な理由なく受信契約の申し込みをしない世帯に受信契約を行い「受信料および割増金」の支払いを求め民事裁判を提起しました。

その内、1世帯に対して東京地方裁判所は、「割増金」を含む6万8000円余りの支払いと、受信契約を命じました。

裁判所による割増金に関する判断が出たのは初めてのことです。

NHKによれば、今回の民事訴訟の対象になった3世帯に対しての契約締結のお願いは、文書の送付、電話、訪問などで誠心誠意の説明を行ったようですが、理解いただけなかったためのやむを得ずの手段だったと説明しています。

民事訴訟と聞くと「なんだか怖い…」と感じるものですが、その事前段階には、NHK側からは、丁寧な説明があったと思われます。

4. まとめにかえて

NHKの放送を視聴するといえば「テレビ」と思いがちですが、受信設備はパソコン、スマホ、タブレット、カーナビなど多岐にわたります。

所持していれば、NHK受信料の支払い義務が課されるケースもあります。

今回の、民事訴訟の件をきっかけに、割増金とあわせて確認しておきましょう。

参考資料

舟本 美子