高齢化社会である日本では、「働くシニア」が年々増加傾向にあります。
実際に、総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によると、高齢者の就業率は65〜69歳は50.8%、70〜74歳は33.5%であり、いずれも過去最高となりました。
年金受給が原則開始となる60歳代後半でも、半数の人が働いていることから、現代においては「定年退職後は年金で悠々自適な生活を送る」といった考えのほうが少ないのかもしれません。
老後も就労することで、年金以外の収入の幅が広がるだけでなく、生きがいにもなるといったメリットがありますが、その一方で体力的に働き続けることが難しくなるのも事実です。
では、現代の人は「何歳まで働きたい」と考えているのでしょうか。
本記事では、最新の調査データをもとに「老後の就労」について考えていきます。
記事の後半では老後の年金・貯蓄事情についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 約7割が「60歳以降も働きたい」と回答
内閣府の行った「生活設計と年金に関する世論調査」によると、 「何歳まで仕事をしたいか、またはしたか」という質問に対して、最も多かった回答は28.5%で「61歳~65歳」でした。
- 50歳以下:7.8%
- 51歳~60歳:14.8%
- 61歳~65歳:28.5%
- 66歳~70歳:21.5%
- 71歳~75歳:11.4%
- 76歳~80歳:6.1%
- 81歳以上:3.6%
- これまで働いておらず、これから働く予定もない:2.0%
7割以上の人が「61歳以上も働きたい」と回答しており、多くの人の中で「シニアになっても働く」という意識があることがわかります。
なお、61歳以降も働きたい理由として、75.2%が「生活の糧を得るため」と回答しています。
「生きがい」や「健康のため」といった理由もありますが、やはりほとんどの人が「生活費を得る」ことを目的に就労することを考えており、老後への収入を不安視していることがうかがえます。
このように、「60歳代以降も働きたい」と考えている人は多く、実際に冒頭でもお伝えしたように働くシニアは増え続けています。
しかしシニア世代の場合は、現役時代とは異なり、病気やケガのリスクがあることから、いつまでも働き続けられるとは限りません。
「老後も就労して生活費の足しにする」と考えている人も、今のうちから年金・就労以外の老後の備えはしておくことが大切です。
では、具体的に老後の年金収入・老後の平均貯蓄額はどのくらいなのでしょうか。
次章にて、年金・貯蓄事情について見ていきましょう。