CBT(Computer-Based Testing)方式の試験が、さまざまな分野で導入されています。新年度がスタートしたばかりで忙しい時期も、試験日を自分で決めることができるCBT試験なら、挑戦しやすいのではないでしょうか? 筆者が実際にCBT試験を受けた経験をもとに、CBT試験で結果を出すためのポイントをご紹介します。
受験者にとってCBT試験のメリットとは?
CBT方式の試験(以下、CBT試験)は、試験会場のコンピュータに向かい、スクリーンに表示された問題にキーボードやマウスを使用して解答する方法で行われます。
情報処理技術者試験の入門的資格と位置づけられているITパスポート、医学部や薬学部などの学生が臨床実習開始前に受験する共用試験、日本漢字能力検定協会による「漢検(2~7級)」など、さまざまな試験がCBT方式で行われるようになりました。
受験者にとって、CBT試験のメリットは「試験を受ける日時と場所を、自分の都合に合わせて選ぶことができる」という点が大きいでしょう。試験を終了すると、数分以内に結果が判明する試験も多いので、その後の計画が立てやすいのも利点です。
CBT試験を受験するための具体的な流れ
各資格試験の公式ウェブサイトにアクセスすれば、CBT試験を希望する人のための手続きについて案内があります。
多くの資格試験で、試験の主催団体がCBT試験システムや会場を運用する企業と提携し、試験の運営等を委託しています。そのため、試験制度や内容の確認は主催団体のウェブサイトで、実際に受験するための会場の予約などはシステム運用会社のウェブサイトで行うことになります。
CBT試験を受ける前に確認したいこと
CBT試験は「受験する日時や場所を自分で選ぶことができる」というメリットはあるのですが、交通の便の良い会場ほど早い時期に満席となります。また、会場によっては特定の曜日しかCBT試験を行っていない場合もあります。
試験によっては、不合格だった場合の再受験に制限を設けているものがあります。たとえば日本証券業協会の外務員資格試験は、「不合格となった受験日の翌日から起算して、30日経過後に再受験が可能」という決まりがあります(プロメトリック社、外務員資格試験「よくある質問」より)。
そのため、就職などの理由で試験合格の期限がある人は、早めの予約と受験を心がけることをおすすめします。
試験当日は、身分証明書を持参しなければ受験することができません。試験ごとに「どのような身分証明書が必要か」が規定されています。住民票の写しを取得するなどの必要が出てくるかもしれませんので、時間に余裕を持って準備しましょう。
試験室で意外に気になること
試験会場についたら、受付で身分証明書を提出し、受付の用紙に記入したり、荷物をロッカーに預けたりします。中には、腕時計も外さなければならない試験や会場もあります。
試験中に使用するパソコンの操作法や、試験中にトラブルが起こった場合に監督者を呼び出す方法について、試験開始前に説明があります。パソコンが並んでいる試験室に入室する前に説明が行われる会場と、パソコンの前に着席した受験生の隣で担当者が説明する会場があります。
後者の場合、自分が試験問題に取り組んでいるすぐそばで、ほかの受験者に対する説明が行われることもありますので、集中力を途切れさせないよう注意が必要でしょう。
試験中にパソコンが動かなくなるトラブルは、私自身が遭遇したことはありません。ただ、同室で受験していた人がそうなったとき、その人は監督者に告げて、別のパソコンで解答できるようにしてもらった様子でした。紙による試験では、このようなトラブルはないため、実際に遭遇すると慌てるでしょう。事前に監督者を呼び出す方法などをしっかり聞いておきましょう。
紙の問題用紙や解答用紙に向かっているときは、時計を確認するタイミングを自分で選ぶことができます。でも、CBT試験の種類によっては、試験問題や解答欄が表示されている画面に、残り時間が表示され、強制的に見せられている状態になる場合も。このことは、精神的なプレッシャーになります。
試験勉強のとき、問題集などに、ペンで書き込みやメモをしながら、解答を導き出す方法で勉強する人もいるでしょう。CBT試験の会場では計算用紙は渡してもらえますが、画面に表示される試験問題や図表などに直接書き込みをすることはできません。この違和感にも、勉強する間から慣れておきましょう。
自由度の高いCBT試験だから気をつけたいこと
「勉強をしたい」「キャリアアップしたい」という思いがあるとき、資格試験を受けるという目標を持つと、「試験日までに勉強しなければ」と意欲が高まります。
しかし、試験の日程そのものを自分で選ぶことができるCBT試験を「いつでも受けられるんだから、今すぐに予約しなくてもいいか」と、先延ばしにしてしまうと、いつまでも勉強ができず、キャリアアップの目標もかないません。試験を受けたいと思ったら「いつ受験するか」を具体的に決め、予約を入れてしまうことが大切でしょう。
河野 陽炎