2. 「国民年金と厚生年金」標準夫婦は4月15日に「約44万9000円」支給された?

4月15日に支給された年金は、2月分と3月分なので、まだ2023年度分の年金です。

厚生労働省によると、2023年度の年金額の例は次のとおりとなります。

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)※1
  • 厚生年金:22万4482円(夫婦2人分の標準的な年金額)

※1 2023年度の既裁定者(68歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万6050円

夫婦2人分の厚生年金の金額を見てみると、22万4482円となっています。こちらが2ヶ月分合わせて4月15日に支給されたため、合計額は「約44万9000円」となります。

しかし、冒頭でもお伝えしたとおり、年金額は個人差があるものです。ここで気になるのが「標準的」の基準ですよね。

どんな夫婦であれば、標準的な年金を受給することができるのでしょうか。次章にて確認していきましょう。

2.1 厚生労働省が「標準的な夫婦」と例示する条件とは

厚生労働省の資料によると、夫婦の年金額の例の根拠として下記の記載があります。

「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」

つまり、夫は40年間の平均標準報酬(賞与含む月額換算)が43万9000円であり、年収約526万8000円で40年間就労したと想定されます。

そして、妻は専業主婦や扶養内パート等により、厚生年金への加入年金はなく国民年金のみということです。

こうした夫婦の合計年金が、22万4482円となっているのですね。

妻が扶養を超えて働いている世帯も、夫婦ともに自営業で国民年金のみという世帯もあるでしょう。

なにより年収事情は個人によって大きく異なるため、「標準的な夫婦」にあてはまるのはむしろ少数派なのかもしれません。

とはいえ、厚生労働省の資料でも参考にすべき点があります。例えば毎年の年金額の推移について。

上の資料では2022年度から2023年度にかけて「プラス改定」になったことがわかりますね。さらに2024年度には大幅なプラス改定が控えていることがわかります。

2年連続のプラスとなり「年金不安」なる言葉が聞かれる今、「意外に公的年金は頼りになる」と感じる方もいるのでしょうか。

ただし、素直に増額を喜べない事情もあります。

3. 6月支給分から「標準夫婦」の年金は46万円超へ

2024年度、年金額は以下のように改定されることが決まっています。

令和6年度の年金額の例

令和6年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万483円(夫婦2人分※)

※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円

※2平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

標準的な夫婦は、先程と同様に「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」と設定。

この場合の年金額は23万483円で、前年比6001円の大幅アップとなります。月額で6000円、年額で7万2000円の増額は嬉しいと感じるものです。

一度に支給される金額は夫婦合計で46万966円になるということですね。

しかし、年金の増額率は2.7%となっていますが、本来の改定率は20〜22年度の名目賃金変動率である3.1%のはずです。

実はマクロ経済スライドによって0.4%の調整が働いたため、実質は目減りである点に注意しましょう。

さらに、「46万966円」という金額は「夫婦2人分」「2ヶ月分」である点にも注意が必要です。

ここから税金や保険料が天引きされることも加味すると、決して余裕のある水準とは言い切れないでしょう。

注意点は他にもあります。