7月3日に「財政検証」の結果が公表されました。
検証によると、女性や高齢者の労働参加や外国人の流入によって、少子高齢化が和らぎ、積立金も増加傾向がみられました。
このことから将来的にも年金の水準は保たれる見通しとされていますが、物価上昇が続き賃金が思うように伸び悩むなか、全員の老後にゆとりのある生活が保障されているわけではありません。
老後の重要な収入源の年金ですが、年金だけで生活していくことが厳しいのもまた事実です。
これから老後を迎える50歳代の人々は、どれほどの資産を蓄えているのでしょうか。
今回は金融広報中央委員会の資料をもとに、50歳代・ひとり世帯の貯蓄額をみていきます。
1. 2024年度の年金額は2.7%の増額
年金額は毎年変わるため、把握をしておくことが重要です。参考までに、2024年度の年金額を確認しておきましょう。
厚生労働省の資料によると、2024年度は2.7%の増額となりました。
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の夫婦2人分の給付水準は「23万483円」となり、前年度よりも6001円アップしました。
しかし、上記は夫婦2人分の年金額であり、単身世帯は受け取る年金がさらに少なくなります。
年金だけで生活していくのが難しいとなれば、頼りになるのは現役時代からの貯蓄です。
次章では50歳代・ひとり世帯の貯蓄額について見てみましょう。
2. 【50歳代・ひとり世帯】貯蓄1500〜2000万円未満は何パーセントか
50歳代・ひとり世帯で「貯蓄1500〜2000万円未満」の人はどれくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」より、50歳代・ひとり世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
2.1 【50歳代・ひとり世帯】貯蓄1500〜2000万円未満の割合
- 4.1%
2.2 【50歳代・ひとり世帯】平均貯蓄額と中央値
- 平均:1391万円
- 中央値:80万円
貯蓄1500〜2000万円未満は4.1%、貯蓄1500万円以上では17.8%となりました。
およそ2割程度が貯蓄1500万円以上を有していますが、貯蓄の中央値が80万円であることを踏まえると、資産の偏りが大きいと言えそうです。