2. ゆとりある老後のため「年金を増やす」ことを考えよう
ゆとりある老後を迎えるためには、まずは年金を増やすことを考えましょう。
公的年金は、生きている間、ずっと受け取れます。
少しでも増やすことができれば、老後生活の心強い味方になるでしょう。
年金を増やすための方法を3つご紹介します。
2.1 年金を増やすための方法1:年金を繰り下げる
公的年金は、原則65歳から受給できます。
最近では、65歳以上の方の多くが就業されています。
もし、引き続き働けるのであれば、年金の受給開始を繰り下げして、将来もらえる年金を増やすことを目指してみてはどうでしょうか。
年金の繰り下げは、66~75歳までの間、1ヶ月単位でできます。
年金を繰り下げると、1ヶ月あたり0.7%多く年金をもらえます。
もし70歳まで繰り下げをすると、0.7×60ヶ月=42%、75歳まで繰り下げをすると、0.7×120ヶ月=84%も年金を増額できます。
また、年金の繰り下げは、老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方ではなく、どちらか一方だけを選ぶことも可能です。
2.2 年金を増やすための方法2:60歳以降も働き厚生年金を掛ける
60~65歳で会社を退職したとしても、再任用で70歳まで働くことを検討しましょう。
そうすれば、給料で生活費が得られるので、年金の繰り下げも選びやすくなります。
そのうえ、厚生年金を掛け続けることができれば、年金の受給額をさらに増やすことができます。
たとえば、年収240万円で1年間働くと年金額は「20万円×5.481/1000×12か月=1万3154円(年額)」増えます。
仮にそのまま、5年間働けば「1万3154円×5年間=6万5772円」増額します。
2.3 年金を増やすための方法3:未納している年金があれば任意加入する
国民年金は、20~60歳まで40年間が加入期間です。
しかし、20歳時点で学生だったため、国民年金を納めていない期間があったり、転職などで年金納付に空白期間があったりする場合があるかもしれません。
保険料納付期間が40年よりも少ないと、その分、もらえる年金が減額されてしまいます。
年金が支払われていない期間について、事前に保険料の免除や猶予を受けていれば、10年前までさかのぼって追納できます。
とはいえ、追納期間が過ぎている場合は、年金の任意加入(60~65歳までの5年間だけ)をして40年間を満たすようにしましょう。
加入期間が1年増えれば、年金額はおよそ年2万円増えます。
3. まとめにかえて
国の調査において、65歳以上の高齢者世帯の48.3%が「生活が苦しい」と回答しています。
50歳以上になったら、誕生月に送付される「ねんきん定期便」を確認して、自分が将来いくらの年金をもらうのか確認しておきましょう。
もし年金額が少ないと思ったら、具体的にどんな方法で年金を増やすか検討しましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
舟本 美子