3. 50歳代が知っておくべき「老後の要点」3つ
つづいて、50歳代が老後に向けて知っておくべきこと3つを紹介します。
3.1 「老後の要点:1」老後にかかる医療費はいくらか
老後の要点1つ目は、老後にかかる医療費です。
厚生労働省「医療保険に関する基礎資料」によると、患者が負担する年間の平均医療費は以下のとおりです。
【年齢別】年齢:1人当たりの年間医療費(患者負担分)
- 65~69歳:8万2968円
- 70~74歳:7万664円
- 75~79歳:6万4843円
- 80~84歳:7万3529円
- 85~89歳:8万492円
- 90~94歳:8万3471円
- 95~99歳:8万1185円
- 100歳~:7万6506円
年齢によって差はありますが、年間で約8万円の医療費がかかります。
ただし、医療費は所得によって負担割合が異なる仕組みのため注意が必要です。
75歳以上の人は原則1割負担ですが、所得が多ければ負担割合が2割、3割と増えます。医療費の負担割合が多い人は、上記の金額よりも負担額は大きくなる可能性が高いといえるでしょう。
3.2 「老後の要点:2」介護施設の費用はいくらか
老後の要点2つ目は、介護施設にかかる費用です。
自分一人での生活が難しくなると、老人ホームなどの介護施設への入所を検討する人もいるかと思います。
施設や地域、サービスなどによって費用に差がありますが、月10万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
自分が住んでいる地域や、老後の住まいとして気になる場所がある場合には、早めに情報収集をしてもよいでしょう。
3.3 「老後の要点:3」セカンドライフ収入の柱・年金受給額はいくらか
老後は、生活費にくわえて医療費や介護施設費用などが発生しますが、もらえる年金はどのくらいなのでしょうか。
2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)月額
- 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
- 厚生年金※:23万483円(+6001円)
現役時代に会社員や公務員として働いた厚生年金受給者はある程度の年金をもらえますが、自営業者などの国民年金のみ受給者がもらえる年金は少額となっています。
それでは、シニアの入口ともいえる60歳代の平均年金受給額を一覧表で確認しましょう。
4. 【年齢別】年金一覧表で60歳代シニアの平均受給月額をチェック
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳代が2022年度末時点で実際に受給している年金の平均額は次のとおりです。
4.1 【60歳代】厚生年金の受給権者数と平均月額
- 60歳:9万4853円
- 61歳:9万1675円
- 62歳:6万1942円
- 63歳:6万4514円
- 64歳:7万9536円
- 65歳:14万3504円
- 66歳:14万6891円
- 67歳:14万5757円
- 68歳:14万3898円
- 69歳:14万1881円
※国民年金を含む
65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの者となっています。
一般的な年金受給開始年齢である65歳以降をみると、年齢があがるにつれ平均月額が上がっています。平均で月額14~16万円台となっていることがわかるでしょう。
4.2 【60歳代】国民年金の受給権者数と平均月額
- 60歳:4万2616円
- 61歳:4万1420円
- 62歳:4万3513円
- 63歳:4万3711円
- 64歳:4万4352円
- 65歳:5万8070円
- 66歳:5万8012円
- 67歳:5万7924円
- 68歳:5万7722円
- 69歳:5万7515円
まずは、自分がもらえる年金額を知る必要があります。年金額は、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を確認してみましょう。
ねんきん定期便は、毎年自分の誕生日の頃に送られてきます。50歳未満の方の場合、ねんきん定期便にはこれまでの加入実績に応じた年金額が記載されているので、年金額を確認する上で参考になります。
年金はシニア生活の収入の柱といえますが、一本で生活費すべてをまかなうのはやや厳しいかもしれません。多くの方が貯蓄を切り崩しての老後生活となるとわかります。
次の章からは「65歳以上の夫婦のみ無職世帯」の家計を見ていきましょう。